「妻籠小学校の特別公開」

蘇南高等学校長

2020年08月30日 07:14

 8月29日(土)は、豪雨の臨時休校による授業の遅れを取り戻すための登校日でした。猛暑の中、生徒は元気に学んでいます。
 実は、本校から車で10分ほどのところにある妻籠宿の高台にある妻籠小学校が、取り壊されることにともない、1日だけ地元住民に特別公開されました。私も中に入るのは初めてです。

 すでに中は片付けられてがらんとした雰囲気なのですが、それでも木の温もりの感じられる廊下を歩くと、教室から昔ここで学んでいた子どもたちの笑い声が聞こえてきそうです。校長室には少し本が誇りをかぶって残されており、それが島崎藤村集なので趣が深まります。

 自分が小学校に入ったときも、こうした木造校舎だった。当時は暗くて陰気な雰囲気しか感じなくて、小学校になじめない自分がいた、と昔の記憶が妙に鮮明に戻ってきたりしました。

 実は、妻籠小学校は、旧制中学校の校舎とコンクリート建造物で接合しています。旧制中学校で現存する建物は希少であることから、こちらのみ保存管理されていくことになっています。コンクリート建造物を取り去ったときに、木造校舎がきちんと立っていられるのか、どきどきしながら見守りたいと思います。

 木造校舎には、特有の「におい」(香り)があります。人を包み込むような「かおり」です。
 蘇南高校も木がふんだんに使われている校舎です。建物に木の「いのち」が宿っていることは、妻籠小学校と同じだと思いました。