「枝分かれするような夢をもつ」

蘇南高等学校長

2020年11月19日 20:08

 2年生は修学旅行が無事に終わり、いよいよ3年生に向けて自分のキャリアデザインを深めていく時期になってきました。そのスタートラインの意識付けとして、今日の6限の「産業社会と人間」の授業で私が講話をしました。
 「どんな職業につきたいのか」を早めに決めることが、努力をいち早く重ねられることになるから望ましいという、学校現場でよく見られる発想は、一面では真理かもしれないけれども、他面では間違っていると私は考えています。人生の夢や目標は単一でもないし、不変でもない。
 私自身のキャリアデザインの軌跡を振り返りながら、次のようなことを生徒に問題提起しました。

(1)「枝分かれするような夢」をもとう。それは「大きな夢」(生きる方針)と「具体的な夢」から構成される。たとえば、「世界とつながる・世界の文化を楽しむ」という「大きな夢」があって、それを実現するために、研究者・アナウンサー・映画評論家・高校教員・作家などの「具体的な夢」がある。つまり、「大きな夢」を持っていると、「具体的な夢」が豊かになっていく。

(2)3段階で夢を語れるようになろう。
 ①まず、高校時代の学びのプロセスを語る。
 ➁次に、その結果、身についた力を語る。
 ③そして、その力をつかって追いかけたい夢を語る。

 具体例
 〈ありがちな語り方〉私は小さい頃からお菓子作りが好きで、将来、パティシエになりたいと思っています。
 〈蘇南高校の生徒に求める語り方〉私は高校の課題研究でカロリーの低いケーキは可能かということを研究し、家庭科の食物分野も一生懸命勉強したので、栄養成分とおいしさの双方を大切にする判断力が身に付きました。この力を使い、私は人々の生活の豊かさに貢献するために、女性も男性もカロリー過多を心配しないで食べられるケーキを作るパティシエになる…という夢を追いかけたい。

  ⇒こう語れる人は、おそらくパティシエだけでなく、食品工場で働くとか、福祉施設で働くとか、いろいろな夢が枝分かれして見えてくるはずなのです。

 そんなキャリアデザインを一緒に楽しんでいこうねと、2年生に呼びかけたのでした。