「的とともに射ることができたもの」
インターハイ中信地区予選に臨んだ生徒たちを紹介する続編として、今日は弓道部です。
本校は、体育館の隣に弓道場を持っていて、8名の部員たちが活動をしてきました。
生徒たちは知らないと思いますが、学校の周りに出没するサルやカモシカを警戒して、私は弓道場一帯をときどきパトロールしています。私には2年間弓道部の副顧問をしていた経験があり、弓道場に行くたびに、大会の凛とした緊張感をなつかしく思い起こしているのです。
大会の報告に来てくれた部長の上村さんは、弓道部唯一の3年生でした。
後輩たちがいるとはいえ、同じ学年の部員が全くいない状態で弓道を続けるということは、とても大変なことだったと思います。でも彼女は最後まで弓道をあきらめずにやりとげました。私はそのことに驚き、感心しています。
どんなふうにして頑張れたのかを聞くと、こんなことを教えてくれました。
「学年でひとりだけというのは、やっぱり大変な思いをすることは多くて、何度もくじけそうになりました。でも好きな弓道を楽しもうと自分に言い聞かせて頑張ってきました。そして悩むときには大抵、悩んでいることの正解の答えなんてわからないのですが、先生が優しく相談にのってくれて、そのことに支えられたように思います。今、振り返ってみると、3年間弓道を続けてこられて、とても貴重な体験ができたんだって、思っています。」
私は、ひとりでも最後までやりとげた上村さんを心から尊敬します。
彼女は、的とともに、これから生きていくうえで大切なものを、射ることができたんじゃないかなと思うのです。