「医薬の神の花が飾られる」

蘇南高等学校長

2022年05月24日 14:19

 本校の建つ丘の中腹には、桃介亭というお蕎麦屋さんがあります。素晴らしい味と親切な低価格で大人気のお店。金土日の昼だけの営業ですが、混み合う時間帯ではお店に入れないことも。
 店主の飯嶋さんは、元大手自動車メーカーの会社員で、本校でキャリア教育の講演をしてくださったり、商業科の授業を指導してくださったりしています。まさに「地域の先生」。

 今朝、「柿其の農家から今年も素敵な花々が手に入ったので、学校に差し上げます」と、飯嶋さんが見事なシャクヤク(芍薬)を寄贈してくださいました。
 華麗さと慎ましさの双方を兼ね備えた、本当に見事な花々なのです。早速玄関に飾らせていただきました。

 シャクヤクの属名はペオニアといって、ギリシア神話の医薬の神ペオンに由来します。美しさとともに鎮痛作用をもっていることから薬草としても大切にされてきた花です。
 私が住んでいる飯田市の南にある下條村には、こんな伝説があります。

――吉岡城の下條氏が織田信長に攻められたとき、下條氏の妻と娘が、山のほうの集落の臣下の屋敷にかくまわれ、その屋敷も危なくなると美濃の国に落ちのびていった。娘は立ち去るとき、吉岡城の落城を大いに悲しみ、下條の家紋の入った鏡を臣下のところに置いていった。臣下のほうは、その鏡を織田勢に見つからないように近くの林に埋めて、目印に芍薬(シャクヤク)を植えた。今、その場所には「芍薬姫の墓」という石碑が残っている。

 凛として立つ美しい花が、シャクヤクなのです。
 しばらくは毎日、この花を心行くまで楽しめます。(明日は何本かを校長室に飾ろうと思っています。)
 飯嶋さん、ありがとうございました!