「長崎から来た若い語り部のことばに耳をすます」

蘇南高等学校長

2022年10月21日 22:36

 昨日、2年生の長崎修学旅行の事前学習の一環で、被爆体験の証言を聞きました。長崎市から田平由布子さんにお越しいただいたのです。
 被爆者の高齢化がすすみ、多くの方がすでにお亡くなりになっています。このようななかで被爆者の証言を語り継ぐ若い世代が現れています。田平さんもそのお一人で、故吉田勲さんの被爆体験の語り部として活動されているのです。本校では3年連続で、田平さんにお越しいただいています。

 世界の核兵器の現状を見つめるところから話が始まり、ついで吉田さんの被爆体験の語りになります。生徒たちはじっとことばに耳をすまします。最後は、吉田さんの思いを想像しながら自分がその立場だったらどう考えるかを、生徒同士で対話をしました。

 被爆者の証言を直接聞く機会が少なくなっている今、「証言をビデオ映像で聴く」のと、「若い世代の語り部を対面で聴く」のと、どちらが有意義なのでしょうか。私はそれぞれに有意義であると考えています。
 後者は、「吉田勲さんのことばを聞きながら、同時にそのことばに向き合っている田平さんの生き方にも私たちは接する」ことになります。

 言ってみれば、他者と対話をしながら、被曝という歴史に向き合うことになるのです。
 田平さんに向き合い、そして友人同士で語り合っている生徒たちが、長崎の原爆資料館に身を置いたとき、何を思い、どう感じるでしょうか。

 田平さん、今年も本当にありがとうございました。