「誰でも学びに積極的になれる力をもっている」

 昨日の朝、教員住宅をすべて片付けて出勤し、夜は南木曽駅前の「MOUNTAinn(マウンテン)」さんに宿泊しました。インバウンド用1棟貸の宿泊施設を一人で独占!
 マウンテンを経営する熊谷さんには、蘇南高校のキャリア学習の講師をつとめていただいたり、探究学習のアドバイスをいただいてきたりしました。

 夜、熊谷さんとコロナ禍の3年間をしみじみと振り返って語り合ったのですが、そのなかで、「人はどのような環境のなかで学びに積極的になるのか」が話題になりました。
 社会学でよく言われるのが、「家庭環境が文化資本に恵まれていること」です。
 ところが、茅野駅前で理髪店をいとなむ家庭に生まれた私は、両親はともに中卒の学歴で、昔ののんびりとした商店街の雰囲気の中で育ちました。今でも覚えているのは、小学校の頃によく父親とパチンコ屋に行って、並んで玉を打っていたことです。教員になってからパチンコ店で遊んでいるのが見つかった生徒を家庭反省にしているのを見て、「あれは法的にまずいことだったんだ」と初めて気づいた次第。

 でも本を読むことや学ぶことが好きで、いつのまにか教員という仕事になりました。両親はそんな私を見守ってくれました。
 私の少年時代の経験は、「どんな子でもきっと学ぶことが好きになってくれるはずだ」という確信のようなものを私に植え付けてくれたのだと思います。
 蘇南高校の校長講話のたびごとに、20分近く(!)生徒にテーマを定めて講義をしてきたのも、じっと私のことばを聞いてくれる生徒の表情が、嬉しくて嬉しくて、たまらなかったからでした。木曽の子どもたちの伸びしろへの大きな期待がいつも心の中にありました。

 「マウンテン」のテラスからは木曽川をはさんで丘の上の蘇南高校がよく見えます。
 夜、校舎の灯りが消えて夜の闇のなかにひっそりとたたずむ蘇南高校と、夜明けとともに、満開の桜のなかに姿を現す蘇南高校を、じっと私は見つめ続けました。最後にこれをどうしてもしたくて、「マウンテン」に泊まったのです。

 誰でも学びに積極的になれる力をもっている・・・そう蘇南高校の景色は語っているようでした。
「誰でも学びに積極的になれる力をもっている」


「誰でも学びに積極的になれる力をもっている」


「誰でも学びに積極的になれる力をもっている」