「Linkをカタチにする」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年06月30日18:06
 蘇峡祭まであと二日です。ポスターが校内のいろいろなところに貼られて、校内もさらに華やいできました。
 今日は、議長の八橋さんとの対話です。

 八橋さん  「昨年度、コロナ禍のなか、zoomを使って新しい形で生徒総会を行いました。そのとき、みんなで協力すれば、色々なことが可能になるということを実感できました。仲間と対話をしながら高校生活をしていくことを心がけたいです。
 私は、みんなにスポットライトの当たるような文化祭にしたいと思っています。少数の人だけが目立って終わりというのではなくて、ひとりひとりが輝く文化祭にしたい。生徒会のスローガン「ファミリー」と文化祭のスローガン「Link」を、カタチにしたい。」

 八橋さんが語ってくれたように、「つながり」ということを生徒会はとても大切にしています。体育祭をミックスホームルーム(1~3年の縦割り集団)で行うというのも3年生たちのアイデアです。
 この世界にはさまざまな分断の線が刻まれているわけですが、生徒たちが「Link」の大切さをどのようにカタチにしてくれるのか、大いに期待しています。
  


「第三の目をもつこと」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年06月29日21:02
 蘇峡祭まで残り3日となっています。夜8時まで生徒たちは生徒会の係活動、文化部の練習、展示発表の準備、クラス発表の練習などに走り回っています。
 今回の校長室対話の相手は、副会長の藤本さんです。

 藤本さん 「自分は開祭式・閉祭式を担当しています。例年、ムービーを上映していて、今年も準備をしています。今年はまずムービーのコンセプトづくりを丁寧にやってきました。『見る側の視点』を大切にしたいですし、ストーリー性があって、ワクワク感をうみだすようなものにしたい。
 ムービーだけでなく、式全体も、単調なリズムにならないよう、テンポのあげさげがあるようにしたいです。やはり『見る側の視点』が大切だと思うんです。」

 こう述べる藤本さんの抱負には、演劇部の顧問を長くやってきた私としても深く共感します。舞台で演じているときにも、「第三の目」を持とうなどと、よく言ってきました。観客からどう見えているかを冷静に意識することの大切さです。熱く演技すればうまくいくものでもないのです。

 そんな生徒会執行部の皆さんの計算が果たしてうまくいくのかどうか、本番がとても楽しみです。
  


「木曽路わたし市とわたしの夢」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年06月28日21:20
 土曜日に「木曽路わたし市・南木曽編」の記念すべき第一回が南木曽駅前のゲストハウス「マウンテン」で開かれ、私と小林先生(総合学科主任)が出かけてみました。

 南木曽町内で3軒のゲストハウスを経営する「フォークロア」の熊谷さんのご尽力で実現した企画です。
 店の入り口では、飯田のWaratteさんが淹れる珠玉のコーヒーを楽しみ、店の中では、個性的かつ魅力あふれる古本市を楽しみます。私は外国小説と木曽の歴史計3冊を購入。「フォークロア」さんが制作した藍染めの手拭いを購入できたのも大きな収穫でした。天然の藍の色合いはまさに幻想的。
 実は「マウンテン」に入ったのは、今回が初めてでした。テラスに行くと、なんと蘇南高校が真正面に見えます。普段、国道からだと樹々の間のバックネットくらいしか見えないので、自分の学校がこのように見えたことに感動してしまいました。ここで職員の懇親会が出来る日が来ることが待ち遠しい。

 「木曽路わたし市・坂下篇」も同じ日にやっていて、こちらにも出かけました。舞台は、中津川市坂下の古民家を再生した「カフェ42」。ここでも魅力的な方々との出会いを重ね、若くして農園を起業された方、膨大なレコードの音楽を楽しめるカフェを経営されている方、坂下の多様な方々が集える場を創造している方…などなど、わたし市に尽力する柴田さんの仲間の多彩さに感動したひとときになりました。

 この「わたし市」は木曽路の北にある贄川から福島など各地で同時開催されており、毎月実施されていくとのこと。
 ここで本校の生徒たちが、丹精込めた商品を販売できるようになればいいと、またひとつ夢を抱いています。
  


「センターで学校経営の研修を受ける」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年06月25日20:10
 今日は、年2回ある校長研修の日でしたので、塩尻市片丘にある総合教育センターに終日出張でした。
 センターは以前の私の職場でもあります。隣の蕎麦畑は、可憐な花が満開の状態です。北アルプスこそ雲の中でしたが、「しののめの道」の美しさに改めて見入りました。

 もちろん研修も充実していました。明星大学の神林寿幸先生の講義は、教員の業務負担のありかたを歴史的にたどるもので、まさに灯台下暗しのところを学び直すことができました。

(1)戦前の教員は「身分給」だった。(無定量の勤務に服すべき公法上の義務を負う者という位置づけ)
(2)戦後の労働基準法のノーワーク・ノーペイの原則により、「職務給」(勤務時間に応じた俸給)に転換し、所定拘束時間が最も多い割増支給となった。そのかわりに超過勤務手当を支給しないことになった。
(3)1950~60年代に各地で教員の超過勤務訴訟が起こされ、各地の地裁判決で教員が勝訴するようになり、その対応として給特法が成立し、4%の教職調整額が支給されるようになった。その根拠となったのは、1966年に文部省が行った「勤務状況調査」であった。これが現行の教員の給与のあり方である。


 ・・・これは講義のほんの出だしの部分ですが、教職調整額の4%の根拠が55年前の教員の超過勤務時間であるとは!(ちなみに1966年は私の生まれた年。)
 当時と今とでは、教員の仕事の内容は大幅に違います。単位時間の労働の質も違っています。私の高校時代、先生たちは授業の空き時間によくテニスや将棋をしていました。(高校内に温泉があったので、風呂上がりに授業をしていた人もいた。)
 教員とは何と優雅な職業だろうと思って、なってみたら、年を追うごとに忙しくなって、いつのまにかテニスをするなんて、想像もできない。

 学問は、スコレー(ギリシア語の暇)からうまれるものですし、ゆったりした心構えの中で生徒を支えた方がいいに決まっています。蘇南高校の先生方は猛烈に忙しいなかで、教材研究をし、ひとりひとりの生徒をきめ細かく支えようとしています。

 さて、どうするか。いつものど元に突き付けられている重い課題です。
  


「蘇峡祭の準備期間のただなかです」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年06月23日19:03
 今週から蘇峡祭2週間前の期間に入り、生徒たちが放課後遅くまで準備をできるようになっています。これを書いている19時の段階でも、校舎のここかしこで生徒たちの元気な声が響き渡っていて、文化祭が近づいている雰囲気が高まっています。

 昨年の今頃は、コロナの全国一斉臨時休校が明けて、これからの年間行事をどのように組み直していくべきかを思案していたのでした。それに比べて、今年はとにもかくにも、予定通りに文化祭に向って学校が動いています。
 校舎が生徒たちの歓声に包まれています。

 この日常が日常として成り立っている奇跡のような幸せを、かみしめています。

  


「道端の哲学」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年06月22日19:36
 本校の玄関ロビーには、いつも生徒の美術作品が展示されています。それが実に様々な手法に挑戦していて感心させられます。
 教科担任の吉田先生の設定した課題が工夫されているからなのですが、生徒の取組もそれに見事に応えています。

 今は、3年生が制作した小さな切り絵作品が並んでいます。それぞれに味わいがあって、私は立ち止まって見入っています。

 「道端のパンジー」と題された、この作品には、道端に咲いている花の美しさに目を奪われて、それを切り絵にしてみたのだと、作者の制作意図が添えられています。じっとパンジーの花びら1枚1枚の微細な姿を見つめた作者のまなざしが、よくうかがえる作品です。

 道端にふと目をとめて出会った「いのち」がある。小さな切り絵は、とても大切なことを教えてくれます。

  


「本校に中津川から強力なアドバイザーが現れる&JRの駅長さんとの懇談」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年06月21日20:30
 今日は二つの報告です。
 まず、先週金曜日の中央西線不通にともなう情報提供のあり方について、木曽福島の松本駅長さんと懇談をしました。駅長さんは、私の申し入れについて、とても真摯に受け止めてくださいました。ありがたいことです。

 もうひとつは、本校の生徒の探究学習にアドバイスをしてくださる地域のアドバイザーの組織(コンソーシアムと言います)についてです。昨年、南木曽町の方々に委員をお願いしたのですが、今年はそれを北の大桑村と南の中津川市に拡大しようというのが目標でした。
 今日は、中津川市坂下の「空き家再生隊・ボロンコビリー」の柴田けいきさんを訪ね、コンソーシアムの委員への就任を快く引き受けていただきました。もう会社の名前を聞いただけで私は心をときめかせたのですが、お会いしてみると、何時間も歓談したくなるような魅力な方です。世界一周旅行をして、スペイン移住の夢をいだき、やがてふるさとの中津川で空き家再生という事業を展開されていることを伺い、課題研究が「地域の課題」のなかに日本の問題を見たり、世界の視点を交錯させたりして、単なる調べ学習に終わらせないようにしたいという私の構想に、まさに強力なアドバイザーが現れたという感動をおぼえました。(ちなみに他にも魅力的なアドバイザーと出会っているので、それはまた後日、報告します。)

 ゲストハウスを兼ねている「基地」がまた素晴らしい古民家です。お子さんのロイさんと三人でのショットとなりました。(ロイさんが俳優なみのカメラ目線なのも素晴らしい! ちなみに私の息子はレイ。)
 探究学習を支えているコンソーシアムが、県境をまたいで組織されたことになります。大切なのは、ボーダーを超えていくことです!
  


「ツイッターの情報で安全は確保できるのか」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年06月18日20:43
 今朝の7時半頃、JR東海の中央西線の木曽福島と上松のあいだで落石の警報が出たという理由で、2時間あまり両駅のあいだで鉄道が不通になりました。
 今年度からJR東海は「ツイッターの情報発信に一元化するので高校への電話連絡はしない」という方針を告げてきています。「電話よりもツイッターのほうが確実です」と強調しました。

 その結果、今朝、生徒が電車に閉じ込められたり、駅(ほとんどが無人駅)で途方にくれたりしているのですが、学校には運行状況の連絡はありません。
 やがてツイッターからは「落石警報により運休しています」「再開のめどはたっていません」のことばが五分おきに繰り返されます。

 その間、生徒に何が起こっていたかというと、木曽福島駅から南に進めなくなった普通列車が折り返し運転を始めたのです。これに乗らないと家に帰れなくなるのか、生徒は動揺します。学校に電話が殺到する。
 学校はもしものことを考えて帰宅を促す一斉メールを送信しました。あわせて上松以南の駅で待っている生徒にも帰宅をうながしました。ところが、上松駅で折り返した列車が南木曽まで運行したことが、後からわかりました。

 「運休しています」という言葉を機械的に繰り返すJR東海のメッセージを受けながら、中山間地の2時間に一本しか来ない列車を頼って生活している私たちの「本当に知りたい情報」をどのように考えているのだろうと、とても心配になりました。
 目の前の現象を何十回とツイッターで繰り返しても意味はありません。
 来週は、木曽福島駅に申し入れをするつもりです。
  


「木曽地区雇用対策推進協議会に出席する」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年06月17日18:51
 今日は、木曽合庁で「木曽地区雇用対策推進協議会」という会議が開かれて、私が出席しました。
 コロナ禍のなかの求人数の減少や雇用の困難化に対して、国や県のレベルでどのような対策がとられているかが改めて説明され、私にとって初めて知る制度もいくつかあり、大いに勉強になりました。

 もうひとつのテーマは、木曽地域の企業への若者の就職をどのように実現していくかです。これについて先日の蘇南高校の「ふるさと探究学・企業ガイダンス編」の取組について私が報告しました。

 木曽の二つの高校の卒業生が、木曽地域の企業に就職した数の推移は次のようになっています。
   平成26年3月卒 30名(就職者全体に占める率45.5%)
   平成30年3月卒 15名(同上32.6%)
    令和3年3月卒 13名(同上27.1%)


 つまりここ数年のわずかな時間でおよそ半減しています。この危機意識に立って、本校でも木曽の地域で活躍する大人の皆さんの生き方にふれ、対話を試みる「ふるさと探究学」を実践しています。

 ただ、今日の会議で私が申し上げたのは、生徒のキャリアデザインは最終的には本人が決めることであり、木曽地域の若者に定着してもらおうとするならば、彼らがそこで働くことを望む地域づくりが欠かせないということです。すでにある素晴らしさを高校生に知らせるということだけでなく、新たに兼ね備えた方が良いものをどう実現していくかの視点もまた欠かせません。
 人づくりと地域づくりの一体的推進の大切さです。
  


「短期留学生が来たる」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年06月16日21:42
 今年は留学生が来ないのか…と、あきらめかけていたら、養護教諭の坂田先生が「来ましたよ、今年も」と教えてくれました。保健室の前のツバメの巣です。
 昨年は、臨時休校の静かな環境で巣作りをしていたのですが、条件の違う今年は、お気に召さないのだろうと思っていました。しかし、約3週間遅れで蘇南高校にやって来たのでした。

 この夫婦にはやや欠点があり、作る巣が明らかに小さいのです。昨年は1羽のひなが巣から落ちてしまいました。今年の巣も明らかにメス鳥の体がかなりはみだしています。2畳間で子育てをしようとしているようなもの。
 この短期留学生をうけいれた側として、無事にひなが生まれて巣立つか、しばらくはハラハラする日々になります。