「何気ないオンラインの日常のなかに」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年08月31日20:27
 今日からまた完全オンライン学習に戻りました。

 朝のHR、1限から6限目までの授業、夕方のHR…と全部で8コマあるのですが、生徒の皆さんは、その都度IDを打ち込んで接続して、授業に参加しています。
 普段の授業とまったく同じように、オンライン学習にもみんながつながってきています。欠席者がとても少ないのです。

 つい接続を忘れていると、友達がスマホで呼び出してくれたりしています。

 帰りのHRは、何かほんわかとした話題でしめくくろうと、先生方はかなり作戦を練っています。

 いいなあ…。何気ないオンラインの日常のなかに、「学校」というもののすばらしさを感じます。
 

 
  


 「短縮日課で整理テスト・進路ガイダンスを行う」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年08月30日16:41
 完全オンライン授業の日々の中で、今日は登校日でした。
 部活動も一切なく、午後2時台の電車・バスで帰宅する短縮日課で、1・2年は整理テスト、3年は進路ガイダンスを実施しました。本来は先週の夏休み明けの最初の登校日で実施するはずだった内容です。

 朝、昇降口に立って、登校してくる生徒たちに声がけをしました。校舎に生徒の皆さんの声がどんどん満ちていくのが感じられて、感無量になりました。
 3年生で就職試験を控えた生徒のみ、特別に夕方まで残り、履歴書を仕上げる学習をしています。こちらは9月中旬の就職試験スタートまであと少し。試験準備の追い込みの時期です。

 本校は南木曽町のご支援をいただきながら教職員のワクチン接種を完了させています。木曽地域は各自治体で高校生のワクチン接種も進んでいます。2回目の接種ではやはり発熱するケースがしばしば見受けられ、今日はそのための欠席者が何人かいました。
 苦しい思いと引き換えに免疫を獲得しようとしている生徒の皆さんに、心からエールを贈りたいと思いました。(もちろんワクチンを打たない選択というものも保障されねばなりません。)

 明日から再び完全オンライン学習に戻り、様子を見て大丈夫そうであれば、週の後半については対面授業を再開させようと思っています。

(写真は、本校の校舎のある伊勢山の山頂の向こうに築かれた森林鉄道の素掘りのトンネルです。昭和初期に人々の力でつくられたものが、今もなおひっそりと残っています。トンネルには必ず出口があるという思いを込めて、今日はこの1枚にします。)
  


「なにげない雑談の大切さ」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年08月27日17:47
 今日は、完全オンライン学習の3日めでした。
 この間、コロナにかかわる校内の心配な事柄もなく推移していることから、8月30日(私の55回目の誕生日)には短縮日課で対面授業を行うことにします。
 友人と会い、先生と話をし、ひとまずステイ・ホームで鬱屈していたメンタルをときほぐしてほしいと思うのです。

 そして申し訳ないですが、8月31日・9月1日には、再度、完全オンライン学習に戻ります。

 今日のあるクラスの放課後SHRでは、ひとしきりクラスメート同士で雑談をして過ごしていました。
 日常生活のなにげない普通のことが、人生においてどんなに大切なのかを生徒たちは気づきつつあります。人間はその大切なことを失いかけた時に気づくのです。
 コロナの日々だからこそ気づくこと、そんなことに目を向けていきたいですね。

 月曜日、生徒の皆さんと再会することを心から楽しみにしています。
  


「完全オンライン学習2日め」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年08月26日17:27
 今朝の「市民タイムス」の木曽版に、本校が完全オンライン学習に転換したことを紹介していただきました。
 今日がオンライン学習2日めです。

 朝のSHRでは、「オンライン学習で困っていることは何か」ということを担任から聞くようにしました。よく聞かれたのは、自分の部屋でリラックスしてしまうので、眠気と食欲との戦いに困っているという声です。眠気の問題は最初から想像していましたが、おやつをずっと食べてしまうという悩みは、聞けば納得です。
 このような生理的な問題も含めて、学習の壁を自分の工夫でどう乗り越えていくかが、「自己調整力を発揮するチャンス」なのだと思います。――私ならばこのようなときは、①(一番簡単には)ガムやコーヒーに頼る。②(理想的には)積極的に質問や発言をしたり丁寧にノートをとったりすることで授業に集中する、などの対策を試みるでしょう。
 その都度、グーグルフォームで教材を配信されると、切り替えをしなければならないので煩わしいという声も聞かれました。これは教材をまとめて配布すれば解決するので、教員の側が気を付けるようにします。

 実技系の科目も時間割通りにオンライン学習を進めています。たとえば、5限の「音楽表現基礎Ⅱ」では、リコーダーの合奏を試みました。自宅学習だからこそリコーダーを吹けるのかもしれません。工業実習などは、工作機械がない自宅で実習は無理なので、単元を入れ替えながら工夫をしています。

 朝のSHRではあまり聞こえてきませんでしたが、去年の臨時休校の経験で言えば、オンライン学習の最大の課題は「孤独」だと思っています。学校の中での心のつながりを維持するためにも、接触機会を減らしつつ、登校して互いにコミュニケーションをとる機会についても大切にしていかなければなりません。
 今のところ、本校の中での感染が見られないので、8月30日(月)には特別日課の登校日を設定する予定です。

 生徒の皆さんには、普段通りでなくて困っていることや、うまくいかないことが生じるだろうけれども、そこで「ひと工夫」するチャレンジを是非してほしいです。それが自分の成長につながると思うのです。
 そして自分の心がとてもつらくなったら、遠慮することなく担任に連絡をしてほしいと思います。

 最後に、「自宅にいるばかりでつまらない」と思ったら、「自宅にずっといる今だからこそできること」に取り組んでみてください。10月末までの2ケ月半、生徒の皆さんの学校の外の学びを「第2回ブリコラージュ賞」に応募してみてくださいね。
  


「時間割通りのオンライン学習を始める」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年08月25日19:25
 新型コロナウイルス感染症「第5波」の予防のために、本日から蘇南高校は、オンライン学習を開始しました。
 朝8:55、いつもの時間にSHRを始め、基礎教養をかためる特別講座を行います。そして9:30から1限目の授業を始めて、お昼をはさんで6限目まで、時間割通り全科目の授業を受けました。講義→演習・討論→まとめ…という流れが基本です。中にはグループ討論を組織している授業もあります。

 2・3年生は昨年度の臨時休校の経験があるので慣れていますが、1年生もしっかり学んでいる姿が印象的でした。画面上には生徒全員の顔を出してもらっています。だからこちらから指名して答えてもらうこともあります。双方向のコミュニケーションが大切です。
 全校6クラスの小さな学校ですが、総合学科なので授業の種類はとても多いのです。だからこそ実習系も含めてすべての授業を時間割通りに行うことを目指しています。
 
 放課後にもう一度SHRを行って、一日が終わりました。SHRはいつも担任だけではなく、副担任も一緒に進めているので、オンラインになっても「語りかける担任」「出欠をとる副担任」など役割分担がすぐできています。
 一日中、校舎の中は、画面に語りかける先生たちの声がにぎやかに響き渡っていました。

 自宅の自分の部屋で授業を受けるのは、気楽である反面、緊張感・集中力を持続させることの苦労をともないます。でも生徒たちが画面の向こうから一生懸命応答してくる姿を見て、私は胸が熱くなったのでした。

  


「学ぶとはわからないことが増えること」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年08月24日16:02
 今日、夏休みがあけ、明日からの完全オンライン教育に向けて半日だけ登校をしました。JR中央西線が一部の区間不通になっているために代行バスで登校した生徒もいます。みんな元気な顔を見せてくれました。

 私は全校の生徒に次のような話をしました。

(1)異常気象の豪雨とコロナ禍は、実はつながっている。「人新世」とも言うべき人類が地球環境に大きなダメージを与えている今、私たちは「自由」を「人々の幸せを実現するための自由」として行使していかなければならない。コロナ禍の中の私たちもまた、自分のやりたいことを我慢して「人々の幸せ」のために「自由」を使えるかが問われている。コロナとの闘いは、人新世の闘いの「前哨戦」にすぎない。

(2)私たちにとって、適切なイメージや概念をもつことが大切である。「人新世」という新しい概念をもつことで、自分の生き方を考えるきっかけになる。同じことは、明日からの完全オンライン教育についても言える。私たちは仕方なくやるのではなく、「蘇南生の能力を伸ばす大きなチャンス」だからオンライン教育を行う。そんなイメージをもってほしい。普段通りでないからこそ、「学びの自己調整力、回復力、学んだことが未来につながることをイメージする自己効力感」を伸ばすチャンスになるのだ。

(3)17世紀のフランシス・ベーコンは、「知は力なり」と言った。学ぶことでパワーアップするという考え方はわかりやすい。でもそれだけではない。同じころ、ブレーズ・パスカルは、学べば学ぶほど、わからないことが増え、自分が無知で弱い存在であることがわかってくると述べた。学ぶから「わからない」と思う。そしてさらに学ぶ。学ぶことは、そんな永遠のチャレンジだ。

 LHRでは、オンライン授業の接続方法を全校生徒が確認しました。時間割どおりにすべての授業がオンライン双方向で行われるので、確認することも多くなります。
 このあと、夕方、各家庭から本校のシステムに接続をして、自分の住まいの地域の電波状況を確認します。まさにチャレンジの連続です。

 「わからないこと」を大切にしながら、明日からの新しい一歩を刻みたいと思っています。

  


「夏休みの最後に学校の景観を整える」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年08月23日18:05
 今日は夏休みの最終日です。学校にはチェーンソーと重機の音が響き渡りました。ここ数日、田中木材さんに学校の前庭の樹木の伐採をしていただいているからです。

 南木曽町でも松枯れがあちこちで見られるようになり、本校の周囲の松もあっという間に赤茶けてしまいました。樹高はかなり高いものですから、台風などで倒れないか心配です。このたび県教育委員会に予算をつけていただき、作業は田中木材さんに引き受けていただきました。

 松にワイヤーをとりつけて、チェーンソーを入れながら重機で引っ張り、「寝かして」いきます。その熟練した仕事を拝見すると、まるで見事なドキュメンタリーを見ているかのようなワクワク感があり、時間があっという間に経ってしまいます。
 田中さんのおかげで、尚学の道から蘇南高校を見上げる時、鵬翼の校舎が眺められるようになりました。公園のような前庭の風景になってきて、ここに岩つつじを植えたら、天白公園の続きになるかもと、夢はふくらみます。

 美しいキャンパスで生徒たちが学んでほしいという思いで、整備を重ねています。
 そして後輩たちのために美しいキャンパスを守りたいというOBの熟練の技が、蘇南高校を未来につなげてくださっています。
 
  


 「学びを保障するためにやるべきこと」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年08月20日19:41
 蘇南高校は、夏休み明けの来週については、オンライン教育を行うことにします。生徒は、自宅からパソコンやスマートフォンで学校につながって、SHRや授業を受けるのです。

 現在の感染爆発とも言える状況において、長野県教育委員会はオンライン教育を対面授業のなかに取り入れるよう指導をしています。岐阜県教育委員会は9月12日までの全県一斉のオンライン教育を指導しています。
 一方で、全国一斉臨時休校の反動で「学びを保障するために対面授業を守っていくべき」という言説があちこちから聞こえてきます。果ては「換気に十分気をつけて対面授業をしましょう」という号令が、この期に及んでも聞こえてくる。
 大切なのは、対面授業が危険を伴う状況の中で、オンラインでも生徒の学びと心を守れるようにすることなのだと思います。「学びの保障」という錦の御旗を「現状維持」の言い訳にすべきではないのです。

 オンラインでも学びと心を守れるようにするためには、教職員の努力と、ひとりひとりの生徒の努力の双方が必要です。今の蘇南高校ならば、それができると私は考えています。陽性者が出ていなくても、生徒と家族の安全を守るためにオンライン教育に踏み切れる学校でありたい。
 ゆえに、来週から「開拓者チャレンジ・プログラム」と銘打ってオンライン教育を始めます。

 24日(火)は半日だけ登校して、オンライン教育の受け方や接続方法を確認し、教材を受け取り、(これも大切なことですが)自宅にいながら部活動や生徒会活動をどう守るかを打ち合わせたうえで、巣ごもりオンラインの日々に入っていきます。
 学びは教科・ホームルーム・生徒会・部活動すべての「パッケージ」なのです。
 
 追伸
 来週から「上松~南木曽」間に代行バスが走ることで、中央西線の交通機関を生徒たちが使えるようになりました。しかも本校の登下校で使う時間帯のダイヤが守られています。JR東海さんをはじめ多くの方々のご尽力に、深く感謝申し上げます。本当にありがとうございます。
 上松町内の土石流による電気設備の損傷が深刻で、回復には約1カ月を要するとのこと。一日も早い完全復旧を待望したいと思います。
  


「少しずつ悪くなる歴史に立ち向かう」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年08月19日18:29
 夕方、生徒と保護者の皆さんに以下の一斉メールを送りしました。

(1)土砂崩落のために、中央西線の「塩尻~南木曽」間が不通になっています。県知事や地元市町村長がJR東海に要請を行い、来週の学校再開の際に不通区間が生じてしまった場合には、代行バスを走らせることになりました。バスの発車時間や利用方法については、確定したところで改めて連絡します。
(2)長野県・岐阜県ともにコロナ陽性者が爆発的に増加しています。長野県教育委員会は、県立高校では8月29日まで、オンライン教育を導入して対面の機会を減らしていくことや部活動を原則禁止とする方針を示しています。それを受けて蘇南高校が夏休み明けの授業日の8月24日から27日までをどのようにするかについては、明日の夕方までに連絡することとさせてください。アルバイトの扱いについても明日、連絡をします。

 以上がメール文の一部です。バス代行とコロナ対策について、明日、皆さんにお知らせできるように準備をしています。もう少しお待ちください。

 ところで、私の専門はドイツ史です。100年前のドイツでは、ヒトラーのナチスが台頭して、ついには政権を掌握してしまいました。そして第二次世界大戦をひきおこし、510万人におよぶユダヤ人を殺害するに至りました。なぜこんなことが起こったのかという理由を、様々な歴史家が考察してきました。
 そのなかでミルトン・マイヤーというアメリカの政治学者が、元ナチス党員にインタビューを重ね、こんなことを言っています。――あるとき突然、アウシュヴィッツが出現すれば、みんながまずいと立ち上がったかもしれないが、現実はそうではない。少しずつ歴史は悪くなる。しかも昨日と今日とでは自分の身の回りの風景がほとんど変わらないから、まだ大丈夫だと安心する。でも実際は、とりかえしのつかない破滅的な事態になってしまっている。

 今の新型コロナウイルス感染症の現実を見ながら、私は、ミルトン・マイヤーの歴史分析を想起しています。
 蘇南高校の生徒の皆さんと危機をのりこえるための作戦を、明日、発表させてください。
  


「安全なキャンパスを目指して」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年08月18日18:46
 今日は、通学路の坂の途中に覆いかぶさっていた桜をNTTさんに伐採していただきました。茂った枝葉が電話線にかなり接触していたので、ありがたいことにNTTさんが作業をしてくださったのです。
 桜はかなり成長した分、枯れた枝も多く、激しい雨の翌朝に私が出勤すると、太い枝が道路上に落下していることがありました。桜には申し訳ない限りですが、安全性を優先せざるをえません。

 作業を見学して、一本の樹木を寝かせることの労苦がよくわかりました。上の方をクレーン車で吊るしておいて、何回かに分けて幹にチェンソーを入れて地面におろしていきます。スモールステップを刻むのは、授業と同じかもしれないと、妙に感心して見学したのです。あわせて付近の杉の枝についても払っていただき、懸案であった通学路の整備がかなり前進しました。

 明日以降は、前庭の枯れた松の伐採を別の業者さんに行っていただく予定です。
 緑多いキャンパスであるからこそ、手入れを丁寧に進めて、安全を守っていきたいと思っています。