「少しずつ悪くなる歴史に立ち向かう」

 夕方、生徒と保護者の皆さんに以下の一斉メールを送りしました。

(1)土砂崩落のために、中央西線の「塩尻~南木曽」間が不通になっています。県知事や地元市町村長がJR東海に要請を行い、来週の学校再開の際に不通区間が生じてしまった場合には、代行バスを走らせることになりました。バスの発車時間や利用方法については、確定したところで改めて連絡します。
(2)長野県・岐阜県ともにコロナ陽性者が爆発的に増加しています。長野県教育委員会は、県立高校では8月29日まで、オンライン教育を導入して対面の機会を減らしていくことや部活動を原則禁止とする方針を示しています。それを受けて蘇南高校が夏休み明けの授業日の8月24日から27日までをどのようにするかについては、明日の夕方までに連絡することとさせてください。アルバイトの扱いについても明日、連絡をします。

 以上がメール文の一部です。バス代行とコロナ対策について、明日、皆さんにお知らせできるように準備をしています。もう少しお待ちください。

 ところで、私の専門はドイツ史です。100年前のドイツでは、ヒトラーのナチスが台頭して、ついには政権を掌握してしまいました。そして第二次世界大戦をひきおこし、510万人におよぶユダヤ人を殺害するに至りました。なぜこんなことが起こったのかという理由を、様々な歴史家が考察してきました。
 そのなかでミルトン・マイヤーというアメリカの政治学者が、元ナチス党員にインタビューを重ね、こんなことを言っています。――あるとき突然、アウシュヴィッツが出現すれば、みんながまずいと立ち上がったかもしれないが、現実はそうではない。少しずつ歴史は悪くなる。しかも昨日と今日とでは自分の身の回りの風景がほとんど変わらないから、まだ大丈夫だと安心する。でも実際は、とりかえしのつかない破滅的な事態になってしまっている。

 今の新型コロナウイルス感染症の現実を見ながら、私は、ミルトン・マイヤーの歴史分析を想起しています。
 蘇南高校の生徒の皆さんと危機をのりこえるための作戦を、明日、発表させてください。
「少しずつ悪くなる歴史に立ち向かう」