「校長最後の日に学校がみんなのためのミュージアムになる」

 今日は、蘇南高校校長としての最後の日。フィナーレはこうでした。

 午後、熊本の崇城大学で芸術学部長をつとめてきた勝野眞言(まこと)先生が来校されました。令和元年度の日展で文部科学大臣賞を受賞された彫刻家で、本校のOB、そして私が卒業式で紹介した勝野金政さんのご子息です。
 なんと、今日、勝野先生が「江・Ⅰ」「音」「傾・Ⅰ」「傾・Ⅱ」という四つの彫刻作品を蘇南高校に寄贈してくださったのです。本当にありがとうございます。
 
 勝野先生が到着して、作品が搬入される段になると、年度末で年休をとっていた多くの先生方も集まってきました。南木曽町の皆さんも集まってきました。
 吹き抜けの窓から春のやわらかな日差しの降り注ぐ昇降口ロビーに勝野先生の彫刻が置かれると、蘇南高校は完全にミュージアムになりました。おおっというため息が渦を巻きました。

 大きな二つの作品「江・Ⅰ」「音」は、水俣の土から創り上げられたテラコッタです。かつて公害に苦しんだ街の大自然から、躍動感に満ちた「いのち」を宿している二つの大きな人物像がうまれました。
 透明感あふれる白い二つの作品「傾・Ⅰ」「傾・Ⅱ」は、天草の陶土から創られた磁器で、清らかな「いのち」の重みを見る者の心に強く刻印してくれます。
「校長最後の日に学校がみんなのためのミュージアムになる」


「校長最後の日に学校がみんなのためのミュージアムになる」


 勝野先生を囲んで、教職員、町の皆さん、みんなで記念撮影をしました。「みんなで」・・・そう、「みんなで」です。
 「芸術のあふれる、みんなのための学校」が、蘇南高校なのです。
「校長最後の日に学校がみんなのためのミュージアムになる」



 夕方5時に、たくさんの先生方に見送られて、蘇南高校をあとにしました。先輩の校長先生たちから聞いていた、「やりきった」という充実感のようなものは、私には湧いてきませんでした。重責が終わったという感慨もありません。
 蘇南高校の生徒たち、先生たち、地域の皆さんを想い続ける気持ちは、校長という立場であろうとなかろうと関係なく、「これからもずっと続く」ものだからだと気づきました。

 蘇南高校は、これからも、私を含む「みんなのための学校」なのです!
 すべての皆様に、これまでご支援をいただきましたことを心から感謝申し上げます。私は教諭として伊那弥生ケ丘高校に赴任しますが、引き続き蘇南高校や私とおつきあいいただければ、幸いです。

追伸 本ブログは、4月から新校長に引き継ぎます。私は、ときどきですが、facebookで全国の皆様との交流を続けていくつもりです。
「校長最後の日に学校がみんなのためのミュージアムになる」