「支えている者がいつしか支えられる」

Posted by 蘇南高等学校長. at 2023年03月20日17:06
 今日は、4月から蘇南高校の校長として赴任する村松先生(現・池田工業高校)が引き継ぎのために来校してくださり、午後の3時間半(!)を使って打ち合わせを行いました。3年間の校長の日々の中で何に力を入れてきたのか、そして何がまだ不十分であったのかなどについて、引き継ぎ文書をもとにお伝えしました。
 これだけの時間を使っても足りないくらいで、またそのときどきに連絡をとりあっていきましょうということにしました。
 引継ぎが終わると、妙に淋しい気持ちにもなりましたが、まだ残り2週間、やることが山積みされていますので、全力疾走をするのみです。

 生徒たちとの面談もなるべく行うようにしています。これだけは伝えておきたいとか、これだけは4月以降の高校生活の道筋をつけておきたいと思うことを、じかに生徒と対話をしています。

 ある高校に勤めていたとき、やむをえない事情で進路変更をせざるをえなかった生徒がいました。でも私は折々にその子と対話を続けてきました。独りではないからねと語りかけるつもりでしたが、いつしか、しっかり歩みを続けているその子の生き方に、自分が励まされているのでした。

 支えている者がいつしか支えられる、それが人と人のつながりなのかもしれません。

 追伸
 今、南木曽の妻籠宿は、ふれあい館で1000体の雛飾りを展示しています。4月3日までですので、よろしければご覧ください。今年のお雛様はマスクを外しつつあります。






「後期選抜合格発表の風景と駅前での美術部展のお知らせ」

Posted by 蘇南高等学校長. at 2023年03月17日17:05
 本日は、朝8時半から後期選抜合格発表を行いました。
 「皆さんとの出会いを楽しみにしています!」という思いを込めて入学予定者受検番号一覧を昇降口のガラスに貼りだしました。
 合格していたことに安どして涙を流しておられる人、大きな喜びとともに電話で報告をしておられる人、ひとりひとりの様子を私は遠くから見守っていました。
 「ようこそ、蘇南高校へ! きっと素敵な3年間が待っていますよ。」

 そして定員に達していない人数分の再募集をすることを発表しました。
 もし残念なことに長野県・岐阜県の選抜がうまくいかなかった人で、蘇南高校で学んでみたいという思いがあれば、是非、本校のことを検討してみてください。
 小さくてもキラリと光る高校です。何より生徒たちが3年間で大きく成長する高校です。


 さて、今日から3月19日(日)までの三日間限定ですが、南木曽駅前のアサイ会館をお借りして、「第n+1回蘇南高校美術部展」を開催しています。n+1回と銘打っているのは、おそらくその昔は美術展をやっていたと推察され、「その伝統を本当に久しぶりに蘇らせて、これから回を重ねて行きます」という復活宣言なのです。
 今年度は、高文連美術専門部の県大会(県展)に選ばれた作品もいくつかあり、ひとりひとりが個性あふれる作品を創作しています。先生の肖像、小鳥、カエル、炎、抽象的な世界など、多彩な作品を展示していますので、よろしければお出かけください。

 今回も蘇南高校生のために会場を快くお貸しくださったアサイ様に心より御礼を申し上げます。





「笑顔・汗・夢を大切に、星まで高く飛ぶ開拓者」

Posted by 蘇南高等学校長. at 2023年03月16日14:33
 昨日・今日と連続して、南木曽中学校・南木曽小学校の卒業式に来賓として出席しました。
 これまでコロナ対策で来賓は大きく制限していましたので、私にとって初めての小中学校の卒業式体験でした。自分の小中学校のとき以来(!)かもしれません。

 小中高とすべての卒業式を2週間のなかで経験して、人間が成長することのプロセスをまざまざと感じました。そしてそれぞれの段階が固有の価値を持っていて、どの段階でも子どもたちは輝いているんですね。

 小学校の卒業生たちは、緊張しつつ精一杯「お別れのことば」で下級生に「前に進むこと」を呼びかけ、見事な合唱を披露してくれました。父母には「一緒に悩んでくれてありがとう」という言葉が届けられました。
 中学校の卒業生たちは、あふれる感情に涙し、壁をのりこえるべく闘った3年間を振り返っていました。
 蘇南高校の卒業生たちは、自信に満ちた表情を浮かべ、それぞれの人生に向って確かな足取りで歩んでいきました。

 今日、南木曽小学校の松井校長先生は、式辞のなかの最後のメッセージとして次のような呼びかけをされました。

――島崎藤村のいろはがるたのなかに「星まで高く飛べ」ということばがあります。これからの皆さんは、星まで高く飛んで、「開拓者」を目指して歩んでいってください

 私はこの言葉にとても心打たれました。「星まで・・・」は南木曽中学校の校歌の一節ですし、「開拓者」は蘇南高校のスローガンです。
 南木曽町の三つの学校がスクラムを組んで、未来の担い手である若者をこれからもずっと育てていくからね、というメッセージでした。

 私自身も、「笑顔・汗・夢を大切に、星まで高く飛ぶ開拓者」になれるよう、歩んでいきたいと思うのでした。
 


「お帰り、皆さん!」

Posted by 蘇南高等学校長. at 2023年03月15日18:06
 昨晩の夜11時50分、カナダ語学研修を終えて2年生12名と教員2名が南木曽に帰ってきました。
 3年ぶりの短期留学派遣が、一人の体調不良者も出さず、無事に8泊10日の全日程を終了しました。

 コロナ禍がまだ続いているなかで、留学をご支援してくださった保護者の皆様、南木曽町の皆様に心からの御礼を申し上げます。
 8日間を現地の家庭でホームステイをし、語学学校に通うだけでなく、バディの学校で現地の教育を受けて交流するなど、とてもハードな内容でしたが、生徒たちは挑戦をし続けました。
 
 バスから降りて整列をした生徒たちを代表して、亀山さんがこう挨拶しました。

――最初は「何言われているのかまったくわからない」という状態から始まったカナダ研修ですが、終わるころには相手のことばが「わかる」と実感をもてるようになりました。今は、「目指せ!ペラペラ!」という思いです。


 そう、その勢いを持てれば、きっと最後の一年間が絶対に輝くでしょう。本当によく頑張ったね。

 保護者の皆様とそれぞれの帰路――南木曽町だけでなく大桑村や中津川市――につく生徒たちの姿を見て、私たちのふるさとに新しい息吹が訪れたような気がしました。

 そして同時に、校長生活の最後にコロナの出口の予感を肌で感ずることが出来ました。



「一年間のめりこんできたことを提出しました」

Posted by 蘇南高等学校長. at 2023年03月14日17:40
 2年生のカナダ語学研修の生徒たちが、夕方無事に成田空港に到着しました。全員元気に帰国してくれて本当に良かったです。
 今日は夜11時半に南木曽に帰ってくる生徒たちを迎える予定です。

 さて、実は、この一年間、私は必死に執筆活動をしてきました。土日はほとんど書斎にこもりっきり。唯一の息抜きは、昼のTV「なんでも鑑定団」を見るときだけ。
 本日、ようやくにして編集部に原稿を提出することができました。岩波新書の原稿です。新聞に広告が出されながら、遅延に遅延を重ねてしまい、読者の皆さん、書店、出版社に多大なご迷惑をおかけしています。申し訳ありませんでした。
 ともかく、この多忙な日々のなかで、精魂込めて書き上げました。新科目「歴史総合」をこんなふうに学んでみましょうという本です。
 文字数は、142308字ありました。400字詰め原稿用紙360枚くらいでしょうか。

 まだまだブラッシュアップしなければならないわけですが、今は完全にマラソンでゴールした直後の心境です。
 でも、生徒たちをお迎えに行きます!



「カナダ留学の最後の日を楽しむ」

Posted by 蘇南高等学校長. at 2023年03月13日14:04
 本日は、カナダ語学研修の2年生12名が、現地で一日を過ごす最終日でした。

 生徒はホームステイ先で様々な体験をしました。
 ブリティッシュコロンビア州サレー地区の郊外はとても自然が豊かであるため、ウォーキングを楽しんだ生徒がいたり、ボートゲームでホームステイ先の家族と親睦を深めたりした生徒もいました。
 またサレー地区には、大型のスーパーや、セントラルシティ・ショッピングモールという大学併設のショッピングモールがあるので、そこで日本へのお土産を買ったりもしました。




 それぞれの生徒がカナダの家族と楽しい時間を過ごし、短期留学の最後をしめくくっています。ホームステイ先家族と名残惜しい別れとなりますが、異国の地の人々と繋がりを持てた体験は、生徒たちにとってかけがえのないものであったはずです。

 そして一番大切なことですが生徒たち及び引率の小泉先生・藤居先生は全員健康そのもので、明日、予定どおりカナダを離陸する予定です。
 南木曽町に帰ってくるのは、明日の深夜23時30分になりますので、HPでの帰着の報告は明後日とさせていただきます。



「カナダ語学研修のレアな体験」

Posted by 蘇南高等学校長. at 2023年03月12日16:25
 カナダ語学研修の8日目の今日は、ホームステイ先での休日で、生徒たちは、各家庭で様々な過ごし方をしています。当然ながら引率教員には情報が集まりません。ただし、体調不良者があいないことは確認しています。

 そこで本日は、この留学の日々の中であったレアな体験についての報告です。

 学校での研修2日目、生徒達はバディに付いて現地校の授業を体験している日のことでした。
 授業中に突然鳴り響くベル、動揺する生徒達、一瞬動きが止まり次の瞬間には淡々と避難指示を出す現地校の先生方、そう、避難訓練です。

 今回お世話になったRegent Christian Academy(RCA)では、先生方にも日程が知らされることなく避難訓練が行われるのだそうです。もちろん本校の生徒達は何も知らされておらず、他の生徒について避難していました。

 日本では生徒も教員も避難訓練があることを認識した上で行いますが、RCAで行われているように、当事者には何も知らせず抜き打ちで行われるからこそ、訓練の意味が生まれるのかもしれません。 
 現地式の避難訓練というレアな体験をした生徒たちでした。


「カナダで生徒たちが修了式に臨みました」

Posted by 蘇南高等学校長. at 2023年03月11日16:22
 2年生カナダ語学研修の7日目です。現地から藤居先生による報告が届きました。

 今日は1~5限までクローズドクラスでESL(第二言語習得)の授業を受けました。生徒はすべて英語のクラスで大変でしたが、カナダ文化についての英文に必死にくらいつき、先生の問いに英語で答えていました。
 また授業の後半には、学校内で行われるホームステイ家族とのお別れ会に向け、サンキューカードの作成を行いました。生徒たちは英語表現を調べたり、それを書いた英文を声に出してみたりするなどして、気持ちを伝えられるように試行錯誤している姿が印象的でした。

 授業後には生徒達を担当してくださった先生方とホストファミリーが参加しての修了式、お別れ会が開催されました。修了式では生徒達がステージ上で1人ずつ修了証を受け取り、生徒代表として亀山さんが英語でスピーチをしました。
 また、生徒達が書いたサンキューカードをホストファミリーに向けて読み上げる一幕もあり、中には寂しさから涙を流す生徒も見られました。5日間の授業を通して生徒達は大きく成長し、また全て英語の授業をやり遂げた達成感を得ることができたと思います。




 その後のお別れ会では立食形式で軽食を楽しみながら各ホストファミリーと談笑する生徒達の姿が見られました。ホームステイも残り3日となりますが、生徒達がホストファミリーと楽しい時間を過ごし、それが一生の想い出となることを願って止みません。

 明日と明後日はホームステイ先での休日となります。いよいよこの週末を終えると帰国となりますので、最後まで安全に気をつけながら研修を進めてまいります。




「ウィークリーきそ万歳と叫びながらカナダ6日目を報告する」

Posted by 蘇南高等学校長. at 2023年03月10日15:31
 木曽広域ケーブルテレビ(KCT)の「ウィークリーきそ」で、木曽青峰高校と蘇南高校の卒業式の様子が番組になっています。3月9日~15日の1週間が放映期間。実は、放送が始まった昨日から、「感動しました」というお電話やお声がけを何人もの方からいただきました。
 昨日の夜、私も録画を視聴しました。びっくりしました。

 KCTさんは、2校の卒業式をまったく異なる演出で番組化をしてくださっていました。青峰高校は、入場する各クラスの特徴・思い出がにぎやかにナレーションで入ります。これはこれで華やかで素敵です。
 ところが後半の蘇南高校のくだりになるとナレーションが一切なくなりました。入場する生徒全員の凛としたまなざしをカメラは追い続けます。そして証書授与と学校長式辞が静かに映し出されました。
 私の式辞はA4用紙4枚、時間にして20分という大学の式典なみの掟破りの長さでした。カメラは息をひそめるように私のプレゼンをほとんど全部収録し、それを聞いている卒業生の真剣なまなざしを延々ととらえていきます。このまなざしこそ、私の感情がこみあげてくるのを必死に抑えて式辞をスピーチした、あのときのまなざしでした。
 最後に卒業生代表の上野さんが答辞をする、凛とした姿が映し出され、番組は終わりました。

 KCTさん、永久保存版としたい番組をありがとうございました。


 さて、2年生のカナダ語学研修も6日目です。

 本日も午前中はクローズドクラスが開講されました。担当のサラ先生は英語を教えるほかにカウンセリング学を専門となさっていることから、生徒を励ましながらチャレンジを促す心地よい雰囲気で授業が展開されました。授業では、カナダの歴史や国歌についての講義もあり、カナダの公用語が英語とフランス語である理由や、国歌に込められた想いなども学びました。


 午後は日系文化センター・博物館、ピース・アーチ州立公園 、ホワイトロックを訪問しました。日系文化センター・博物館は日系カナダの人々が辿った歴史や文化が展示、保管されており、生徒たちは日系四世であるガイドの中川さんと、阿久沢さんからお話を聞きました。阿久沢さんからは「カナダにも様々な移民コミュニティがある中で、ブリティッシュコロンビア州にこのような施設があるコミュニティは少なく、誇らしい」とおっしゃっており、生徒たちはカナダの地でも日本との繋がりを知ることができたようです。


 その後は、アメリカとの国境であるピース・アーチ州立公園に向かい、少しだけアメリカの大地を踏みました(もちろん認められているエリア)。記念撮影後は、公園の近くにある港町ホワイトロックにも立ち寄り、自由散策の時間をとりました。海辺で写真を撮ったりする姿が見られ、広い海原を眺めながらいい息抜きができた様子でした。

  カナダを満喫しています。





「私事で恐縮ですが」

Posted by 蘇南高等学校長. at 2023年03月09日16:53
 まず、今日はカナダ語学研修のレポートは、学校のHP本体でさせていただきますので、そちらをご覧ください。

 私事で恐縮ですが、人事異動のことを報告させていただきます。
 長野県教育委員会の発表にありましたように、4月から蘇南高校校長には村松義晴先生(現・池田工業高校)が赴任されます。
 私はこれまで3年間、蘇南高校で、すばらしい生徒の皆さん、先生方、保護者・地域の皆様と一緒に、本当に充実した日々を過ごしてきました。これで南木曽での生活に区切りをつけることになります。

 プレス発表で「退任」と出ていたので、驚かせてしまったと思います。その事情を説明させてください。
 この3年間はコロナ禍のなかで必死に未来を模索した歳月でしたが、同時に、こんなにも高校生には可能性があるのだということに感動する連続でした。その感動が積み重なるほどに、蘇南高校の校長の任を終えるときは、高校生に直接授業ができる教諭に戻りたいという思いがつのるようになりました。

 もちろん校長の責任を残り4年全うすべきという考えとの間で逡巡しました。しかしこの蘇南高校の日々で私が学んだことは、学校を動かすのはやっぱり「生徒と先生方」だということでした。私が思い切り理想の学校づくりに情熱を傾けることができたのは、「生徒と先生方」に恵まれたからこそです。
 そこで、4年後ではなく今ここから、自分が懸命に研究している世界史のことを生徒に日々授業をしたり、生徒ひとりひとりのキャリアデザインを支援したりする立場に身を置いて、残りの人生を使おうと決意しました。
 
 舌足らずな説明で申し訳ありませんが、以上のような思いの中で、希望降任制度というものを使って、4月から「教諭」として新たな挑戦をする予定です。これからの地球市民を育成する歴史教育を考案・実践していきます。そして自宅の農園の手伝いを本格化させながら、21世紀の人々のいのちを支える「農」を担っていくつもりです。
 卒業式の式辞で、「皆さんが『開拓者』であるかぎり、必ず仲間と出会う。私もその仲間であり続ける。」と宣言したとおり、開拓者でありつづけたい、そう思っています。

 もちろん3月31日まで蘇南高校の教育実践を全力で遂行します。あふれる感謝の思いはここには書ききれませんので、ゆっくり述べさせてください。
 では、これからもどうかよろしくお願いいたします。