「私の思いをすべてかなえてくださる南木曽町の皆さんの心の温かさ」

 蘇南高校の卒業式の様子が木曽広域ケーブルテレビの「ウィークリーきそ」で放映されて、びっくりするくらいの反響をいただきました。
 その番組では、私の式辞をほとんどカットせずに、じっと聞き入ってくれている卒業生の姿とともに映し出してくれたからです。南木曽出身で戦前にソ連にわたり、無実の罪でラーゲリに送られるも奇跡的に生還して、南木曽に戻ってきた勝野金政さんの生涯を紹介した式辞でした。
 勝野さんと一緒に妻籠に疎開した文化人たちの影響で、こんにちの妻籠の街づくりにつながる文化的な土壌が形成されたということと、勝野さんが大切にしたヒューマニズムとインターナショナリズムは、今の蘇南高校生が体現しているのだということを論じたのでした。

 「ウィークリーきそ」の放映後、たくさんの方からお電話をいただいたり、町で声をかけていただいたりしました。
 「よくぞ勝野金政さんをとりあげてくれた」「自分の知らなかった南木曽の歴史が分かった」「卒業生の皆さんの真剣なまなざしに感動した」・・・などなどです。

 さらには、昨日のことですが、勝野金政さんが創立したもののあっという間に閉校になってしまった木曽産業学校の跡地を、楯さん(楯木工)にご案内いただき、伊藤さん(南木曽商工会長)、田中さん(田中木材)、私のメンバーでフィールドワークすることができました。
 午前はサイエンス、午後は木曽ひのきの製材加工の実習という斬新なカリキュラムでスタートした木曽産業学校は、校舎と製材工場が立ち並び、森林鉄道の引き込み線まで来ていたのですが、教員のストライキの多発で閉校に追い込まれ、さらに大土石流ですべて流されてしまいました。

 その後、民家が並んでいたそうですが、その家々も今はなくなり、静かな野原になっていました。
 さらに勝野さんの跡を継いで製材所を今でも営んでおられるご実家の皆さんを訪問し、念願のごあいさつをさせていただくこともできました。

 「知りたい・つながりたい」という私の思いをすべてかなえてくださる南木曽町の皆さんの心の温かさにふれ、蘇南高校で校長をさせていただいたことの幸せを改めてかみしめたのでした。
「私の思いをすべてかなえてくださる南木曽町の皆さんの心の温かさ」