「大好きな芸術作品を解説しながらラストメッセージを蘇南高校生に贈る」

 今日は、一年間の最後の授業日でした。朝会では転退職する教職員の別れの挨拶、そして生徒たちには終業式と離任式です。

 離任のあいさつをする先生方ひとりひとりの表情、ことばを見つめると、「やりきった」という感慨がひしひしと伝わってきます。
 そして離任職員はみな、蘇南高校の生徒たちのここが一番好きだとか、ここはこれからもずっと大事にしていってほしいということを語りました。

 私の終業式講話は、「世界とつながること」と「芸術を愛すること」で、「流されないものさし」を自分の心の中に持とうということを、次のような具体例をあげながら、生徒たちに語りかけました。

(1)台湾の故宮博物院のHPから3D画像を使って、「汝窯」(じょよう、徽宗の時代の窯で現存数がきわめて少ない)の名品の魅力を見つめる。
(2)ボルタンスキーのインスタレーション「No Man’s Land」をYouTubeで鑑賞して、芸術によってホロコーストを表現する可能性を考える。
(3)彫刻家・勝野眞言さんのテラコッタ制作をとおして、「流されない自分づくり」の大切さを考える。


 ・・・というように、最後まで全速力でかけぬける講話になることを目指しました。講義原稿はコチラをご覧ください。
https://www.nagano-c.ed.jp/sonan-hs/pdf/20230323_kouwa.pdf
「大好きな芸術作品を解説しながらラストメッセージを蘇南高校生に贈る」


 蘇南高校生の「よりよく生きよう」としている真摯な瞳を見つめていると、涙がこみあげてきました。
 生徒たちひとりひとりが、私にとって「汝窯」の作品のように無二の価値をもつすばらしい「いのち」です。34年間の教員生活を経て、この生徒たちと出会えて、本当に幸せでした。

 君たちは、どうか流されずに「自分のものさし」を大切にしていってほしい。
 私もまた、そのように生きていくつもりです。

  追伸
 「汝窯(じょよう)」の名品は、故宮博物院のHPでご覧いただけます。コチラをどうぞ。
https://theme.npm.edu.tw/3d/Content.aspx?sno=04001032&l=3&q=&p=1&fromCnt=0
「大好きな芸術作品を解説しながらラストメッセージを蘇南高校生に贈る」