「一番気になっていた空間を大きく改修する」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年11月30日20:01
 本校に入学してくる生徒たちを、「蘇南高校にようこそ!」と美しい校舎で迎えたいと思っています。
 ヒノキ造りで、丘の上から大空に羽ばたくような形をしている校舎は、私たちの誇りです。

 しかし、そんな校舎にも弱点が二つあります。一つはトイレが「普通の姿」であることです。現在、長野県教育委員会は、学校のトイレを清潔感のある姿(言わばホテルのトイレのようになること)に改修する計画をたてており、本校のトイレもそう遠くない未来に生まれ変わる予定です。

 もう一つの弱点は、一度も改修されていない商業棟の1Fの中央が吹きさらしになっており、床の滑り止めマットがヨレヨレ。さらには本館から商業棟につながる渡り廊下が、経年劣化でとても汚くなっていました。
 このほど県教委から修繕の予算をつけていただき、地元の松瀬工務店さんに工事をしていただきました。商業棟1Fの廊下にはサッシをつけ、床のマットもすべて新品に貼り換え、さらには渡り廊下の床も刷新しました。見違えるほど美しい空間になったのです。
 
 美しい校舎を未来の生徒たちに伝えていくこと、それが今を生きる私たちの使命です。

  


「総合学科の校長のスケジュール」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年11月29日20:26
 校長には、県レベルや地区レベルの校長会が、年に何回かあります。蘇南高校から出張するのは、地区レベルの校長会でも結構大変で、松本市内の高校に行くためにも片道3時間近くの自動車の運転をしなければなりません。長野市へ行く県レベルの校長会の場合は、片道4時間はみておかねばなりません。(長野駅から新幹線で東京との間を往復できる時間です。)

 蘇南高校は総合学科なので、商業校長会、工業校長会、総合学科校長会にも出席します。コロナの感染レベルが深刻だった時には、オンライン開催になっていたので、私にとっては(不謹慎な言い方ですみませんが)かえって好都合でした。
 今は対面会議に戻っていますから、またもや苦労しています。

 先週末の金曜日は、工業校長会で長野工業高校に行きました。20時にどうしても学校に戻って行いたい面談があったのですが、会議の終了が17時をまわり、さらに長野道が集中工事で渋滞しており20時には間に合いそうもありません。急遽、松本市内のホテルに駆け込んで、面談にオンライン参加をしました。
 今日は、朝一番に飯田市の自宅を出て、商業校長会の長野商業高校に向かいました。本校は月曜日の朝8時40分から短時間の職員会を行うことになっており、今日はどうしても先生方に自分から連絡をしておきたいことがあったので、サービスエリアからオンラインで出席する計画でした。ところが長野道の坂北PAも姨捨SAもWifiのルーターの電波が届かないことが判明し、急遽、電話をかけてその音声を拡大して職員会連絡を行いました。今までは梓川SAからオンラインでつながっていたのですが、今日は会議の開始時間に合わせて、先まで自動車を進めていたのが失敗の原因でした。
 タイトなスケジュールで沢山のことをこなそうとすると、どうしてもハプニングは起こります。

 その都度、ブリコラージュ(自分の持っている知識と技術で課題をのりこえる)していくしかないと、日々、生きています。
  


「自分だけが楽しくても本当に楽しいとは言えない」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年11月26日19:37
 今月の16日(火)に今井先生が2年「体育」の研究授業を行いました。

 実は、私は小学校・中学校・高校時代を通して、体育の授業が嫌で嫌で仕方ありませんでした。
 今でこそ登山が趣味なのですが、とにかくスポーツが苦手で、友人の足手まといになることが心苦しかったのです。今でも鮮明に覚えているのは、小学校の頃、放課後にベースボールをやるときにチーム編成をしたときのことです。スポーツ万能のリーダー格の少年2名が「取りケン」と称してジャンケンをし、勝った方からチームのメンバーを指名していきます。最後に私(!)が残り、2名がジャンケンし、勝った友人が、一言、「いらない」と言い切りました。(現代ならば、いじめ問題です。)

 今井先生の授業の話に戻ります。今回の単元、バレーボールについて、今井先生は毎回、スモールステップを刻みながら習得する目標を定めています。それを授業の冒頭で共有して、授業の最後にどれだけできるようになったのかを振り返ります。
 この精密なルーブリックづくりには感心させられます。

 そして、その目標をみんなが達成できるように、バレーボールが得意な生徒は、苦手な生徒に寄り添っていくのです。「自分」が目標を達成したことが喜びなのではなく、「みんな」で目標を達成したことに喜びを見出す。「自分だけ楽しくて、本当に楽しいと言えますか?」…これが、今井先生が1年生の頃から生徒たちに強調してきたことです。
 この今井イズムの浸透ぶりは、目を見張るものがありました。

 授業の途中での振り返りも、互いに、ここは出来てきたよね、今度はここを目指したいよね、と生徒たちは、お互いに声をかけあっているのでした。
 「自分もこの授業を受けたかったよね」と、私だけでなく、他の教員も互いに語り合っていました。

 教科の学習を通して人間としての大切な生き方を学べることは素晴らしいだと、私は今井先生の授業に出会えた幸せをかみしめています。
  


「1年生が互いの工業デザインを対話して評価しあう」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年11月25日20:13
 本校は、テストの点数だけでなく、生徒の多様な学びのプロセスを丁寧に評価することに心がけています。そのために、全国工業高校長協会の評価手法実践研究校に指定されています。(本年度で2年目)

 22日(月)には、本年度の研究授業を実施しました。藤城先生が担当する1年「工業技術基礎」で「知的財産」の重要性を学んでいる様子を公開し、県内外から集まった先生方に参観していただいたのです。協会からは小山先生と鈴木先生が講師として来校してくださいました。
 工業製品をデザインするアイデアを磨くために、生徒が文房具の新しいアイデアを考えて発表し、友人との対話を経て、そのアイデアの改良案を練り上げていきます。自分の発想力や協働性を授業の途中と最後で「自己評価」するわけですが、あわせて友人の発想力を「相互評価」することが、今回の授業のチャレンジでした。「相互評価」を重ねていくことで、「自己評価」の目を磨きたいというのが、ねらいです。

 「線を引くことで線の長さが表示されるボールペン」とか、「絵画や図に接触することで色が文字で表示される色覚障がい者用のタッチペン」、「書かれた文字を写し取って別の場所に貼れるテープ」など、生徒から出されるアイデアに、私もなるほどと膝を打ったのでした。
 それぞれのアイデアの長所や短所を相互に指摘しあっている姿も感心させられました。ただ、「相互評価」(観点別にABCをつける)は、どうしても遠慮して高評価をつけがちになります。一生懸命、対話を重ねたのですから気持ちはわかります。授業後の研究会では、そもそもABCのランクづけよりもコメント記述のほうが「相互評価」には適切かもしれないという発言もありました。挑戦したからこそ見えてくる風景です。
 
 この日は、学校見学の中学生、取材のために来校された記者さん、そして多数の授業参観の先生方と、朝から目まぐるしくお客さんをお迎えしました。
 大勢の人に来ていただける学校でありたいと改めて思ったのでした。
  


「母の告別式を終えて」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年11月24日22:04
 本日、11月24日に母・春子を荼毘にふして、告別式を行いました。急逝した父のあと、30年の歳月を懸命に生きて、私たち3人の子と5人の孫を見守ってきました。
 菩提寺の宗湖寺のご住職からいただいた戒名は、「麗花春道大姉」です。たくさんの花に囲まれての旅立ちとなりました。

 大勢の皆様から温かな励ましと追悼のお言葉をいただきました。本当にありがとうございました。

 月並みな言い方になってしまい恐縮ですが、母からもらった自分の「いのち」を精一杯生きることで、これからも母と対話をし続けていきたいと思っています。
 明日からまた、学校の様子などを発信していきますので、どうかよろしくお願いいたします。
  


「数日ブログをお休みさせていただきます」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年11月19日09:25
 ほぼ平日は毎日、校長ブログを書いていますが、少しお休みをさせていただきます。

 実は、茅野市の生家で暮らしていた母が、急に亡くなってしまいました。78歳。現役の理容師として直前まで元気で働いていました。健康診断の結果も良好でしたが、突然の脳梗塞でした。
 
 父が早逝してから30年、「私はひとりでもしっかりやっていけるから、あなたに迷惑はかけない」が口ぐせでした。迷惑をかけてもよかったのに。
 最後までひとりで生き抜いて、あの世に旅立ちました。

 この状況下なので、葬儀は家族葬で行いますので、お香典などについてもご辞退申し上げます。

 皆さん、寒くなる時期は体調を崩しがちです。どうかご自愛ください。
  


「ポッドキャストの『キソラジ』に出演する」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年11月18日19:54
 木曽町の地域おこし協力隊員の服部さんが制作している「キソラジ」という魅力的なポッドキャストがあります。

 ポッドキャストというのは、インターネット上で音声・動画を発信するメディアのことで、「キソラジ」はインターネット・ラジオと言えば、わかりやすいでしょう。
 服部さんが、木曽地域のさまざまな人を訪ねて、その仕事や趣味、人生観などを聞いていく、言わば木曽版「泰英(徹子のもじり)の部屋」が「キソラジ」なのです。

 上松の田上さんからのリレーで私が出演することになり、50分ほど、蘇南高校の魅力とか、私の世界観といったことをお話しさせていただきました。聞き上手の服部さんに乗せられて(服部さんのせいにするなという声が聞こえてきそう…)、つい饒舌にしゃべりまくってしまいました。マイクとか照明を前にすると、ついアドレナリン全開になってしまうのでした。

 私の回はともかく、この木曽に暮らす人々の「声」を聞きだし、発信していく服部さんの仕事は、私が専門にしている歴史学で言えば、オーラル・ヒストリー(聞き取った歴史)の実践に通じるものがあります。「キソラジ」のラインナップを見ると、「ああ、あの人だ」というような発見がいくつもあって、興味が尽きません。
 本校の探究学習の大切なリソースになると私は思ったのでした。

 もしよろしければ、お聞きいただければ幸いです。
‎‎
キソラジ【木曽のリアルをお届けするポッドキャスト】 on Apple Podcasts
  


「ポッドキャストの『キソラジ』に出演する」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年11月18日19:34
 木曽町の地域おこし協力隊員の服部さんが制作している「キソラジ」という魅力的なポッドキャストがあります。

 ポッドキャストというのは、インターネット上で音声・動画を発信するメディアのことで、「キソラジ」はインターネット・ラジオと言えば、わかりやすいでしょう。
 服部さんが、木曽地域のさまざまな人を訪ねて、その仕事や趣味、人生観などを聞いていく、言わば木曽版「泰英(徹子のもじり)の部屋」が「キソラジ」なのです。

 上松の田上さんからのリレーで私が出演することになり、50分ほど、蘇南高校の魅力とか、私の世界観といったことをお話しさせていただきました。聞き上手の服部さんに乗せられて(服部さんのせいにするなという声が聞こえてきそう…)、つい饒舌にしゃべりまくってしまいました。マイクとか照明を前にすると、ついアドレナリン全開になってしまうのでした。

 私の回はともかく、この木曽に暮らす人々の「声」を聞きだし、発信していく服部さんの仕事は、私が専門にしている歴史学で言えば、オーラル・ヒストリー(聞き取った歴史)の実践に通じるものがあります。「キソラジ」のラインナップを見ると、「ああ、あの人だ」というような発見がいくつもあって、興味が尽きません。
 本校の探究学習の大切なリソースになると私は思ったのでした。

 もしよろしければ、お聞きいただければ幸いです。
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「木曽郡の小中学校保護者の皆さんと教育について語り合う」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年11月17日22:24
 今日は、とても忙しく、また充実した一日でした。
 午前中の授業について、本校の保護者の皆さんや地域の中学生に公開をしました。中学校の授業があるなかで、多くの生徒さんに来校していただき、感激しました。

 それと並行して、木曽郡PTA連合会・子育て委員会の皆さんが本校を訪問してくださったのです。
 昨年度、高校再編について木曽郡の2校をどうしていくかという議論をしているとき、前会長の千村さんが「小中学校の保護者が木曽の2校のことをあまり知らないので学校を訪問する機会をつくりたい」と提案してスタートした企画を、現会長の藤原さんが引き継いでくれました。
 昨年度、蘇南高校に来てくださった保護者は18名でしたが、今年度は31名に増えました。なんと嬉しいことでしょうか。昨年度に引き続いて参加してくださった方が何人もいます。「昨年からどのくらい進化しているか、是非、ご覧ください!」と始めました。

 まずは私が「蘇南高校の学校づくりの方針」と「中学生・高校生の学びのありかたについて考えていること」をお話しました。久しぶりの対面のレクチャーなので、ついつい嬉しくなって熱が入ってしまいます。――①中等教育のキャリア教育で身につけるのは「人生のスタンス」であって、具体的な職業が早くに決まるわけではないこと、②スペシャリストのみが理想視される風潮があるけれども、大切なのはジェネラリストであること…などをお話しました。
 ついで3年生の防災について探究している生徒が中間報告をしました。――①麓の地区から学校への避難路の開設が、どのような壁を乗り越えて実現したか、②生徒主導で本校の防災訓練をどのように改革したか、③これからの避難所のあり方の改革をどのようにプランニングしているか…について生徒も熱く発表しました。

 授業を参観した後に保護者の皆さんのグループ・ディスカッションがあり、最後にその内容をみんなで共有しました。
「もっと中学1・2年生や木曽郡の北部にも学校の様子を広報した方がよい。」
「小川校長が退任した後、今の学びの方向性はどうなるのか?(!)」
「不登校や障がいをもった生徒への支援のあり方はどうなのか?」
 色んな質問をさらにいただき、それに応答しながら対話を深めたのでした。子どもたちのいのちを育むための高校はどうあるべきかについて、とても熱く語り合ったひとときになりました。

 PTA連合会の皆さん、本当にありがとうございました。
 これからも親しくおつきあいさせてください。
 蘇南高校をどうかよろしくお願いいたします!

  


「地域を支える側に立つことを願って」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年11月16日21:26
 このほど、生徒会が南木曽の特産品を組み合わせて「交通安全ストラップ」を100個製作し、南木曽町社会福祉協議会に寄贈しました。
 昨日、社協の古川会長さん、古澤事務局長さんに本校にお越しいただき、贈呈式を行いました。

 「交通安全ストラップ」は、木曽ヒノキのプレートと、反射材を貼った田立和紙から構成されていて、飾りにビーズや立方体の木片がつながっています。装飾的にもかなり凝ったものになっています。地域の高齢者の送迎に携わる社会福祉協議会の皆さんの交通安全を祈って、放課後の時間に執行部の生徒たちが何日もかけて作ったものをお贈りしました。3年生の前執行部と2年生の現執行部のリレーでもあります。

 生徒会長の上野さんから、今年度の方針「ボランティアを通じて地域ともっとつながる」の実現のために頑張りたいという思いが語られ、議長の原さんからは、地域の特産品を利用して素材については野原工芸さん、志水林業製材さん、名取さんから提供していただき、全体として地域おこし協力隊の川本さんのご支援をいただいたという、皆さんの善意のリレーがあったことが説明されました。(ご支援をいただいた皆様に、私からも心から感謝を申し上げます。ありがとうございました。)
 このストラップは、2年前に南木曽中学校の皆さんに寄贈したことがありました。紐が弱かったなど、前回の反省にもとづき、いくつかの改良を加えています。

 これまで蘇南高校は、地域の皆さんに本当に支えられて歩んできました。
 これからは、支えられると同時に、地域を支える側に積極的に立っていきたいと、生徒も教員も願っています。支える側に立つことで、また新たな出会いが生まれ、新たな発見を重ねます。それが自分たちの人生を豊かにするのだと思います。