「55歳でサンタさんに出会う」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年02月28日21:04
 あるとき、アマゾンから注文した覚えのない本が届きました。
 気味が悪いので、しばらく本を校長室の窓際に放置しました。2週間たっても何の連絡もありません。
 おそるおそる最初の数ページを読みました。…感動して涙が出ました。スゴイ本だ!

 住宅に持ち帰り、寝る前に少しずつ読み進めました。頭をガツンと叩かれるような章もあれば、歴史や文学に対する見方を根底から揺さぶられる章もあります。いくつかの章では、本当に涙が出ました。
 著者は、なんと、日本語を母語としないニュージーランドの投資家。彼がブログに綴った文章が絶大な人気を集め、青土社が単行本にしたのが、この本です。
 著者の独特な日本語遣いが、なんとも美しい。私もいつかこんな本を書きたい。

 今週末の卒業式の式辞は、この本をもとに心を込めて書きました。

 私はブログのことを知らなかったので、この本を自分では買うことはなかったでしょう。
 それだけに、この宝物のような本を、私に匿名で贈ってくださったのは、誰でしょう?

 55歳でサンタさんに出会った気分です。
  


「ロシアのウクライナ侵攻を目のあたりにして」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年02月25日20:44
 今日は、朝の職員連絡会で、先生方にこう呼びかけました。
 「今、世界で現実に戦争が起こっているということを、是非、ホームルームで話題にしてほしい。戦争というものが、このように理不尽にひきおこされるのだということを、生徒と見つめてほしい」と。

 今から35年前の大学3年生のとき、初めての外国旅行で私が最初に渡航したのが、ソ連でした。新潟からシベリアのハバロフスクへ、そしてソ連の国内便でウクライナのキエフへ。
 チェルノブイリ原子力発電所の事故から間もない頃で、キエフにはほとんど旅行者がいませんでした。「誰もソ連政府の言う『安全』など信じていない」と、人々は語っていました。
 
 教員になってから原発事故の被災者を描いた『チェルノブイリの祈り』を書いたアレクシエーヴィチさんとお会いして、本にメッセージをもらいました。彼女はのちにノーベル文学賞を受賞します。この本に、次のような一節があります。

――あ、待ってください。あなたにわかっていただきたいの。私は神さまはこわくない。こわいのは人間です。
  


「校長、起き上がり小法師のモデルになる」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年02月24日18:07
 玄関ロビーに飾っている美術の授業の作品には、起き上がり小法師もあります。これがどれも可愛い作品で、美術の吉田先生の許可を得て、そっと押しては、倒れかけても戻ってくるのを見て、楽しんでいます。
 制作した3年生のこれからの人生も、こうあってほしいと切に思うのです。

 その中に一つ、「ちびまる子ちゃん」に登場する人物のような、あやしい魅力を持った起き上がり小法師がありました。
 「これ、校長先生がモデルなんですって」と吉田先生。――「なんと!」

 今日、3年生の小澤さんが「プレゼントです」と、その小川風小法師を校長室に持ってきてくれました。これまた、なんと嬉しいことでしょう。
 「実は、難点があって、髪の毛を足したらバランスがとれなくなって、起き上がらないんです…」――「なんと!」

 この繊細なバランスの小法師こそ、小川の内面を表現してくれたと、小澤さんに感謝感激なのでした。
 本当にありがとう!
  


「昇降口ロビーに美術の作品が飾られる」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年02月22日20:01
 今は昇降口ロビーが一年のなかで最も華やかな時期です。
 美術の授業で創作された様々な作品が、所狭しと展示されており、そのバリエーションの豊かさに感心させられます。担当の吉田先生のアイデアは、本当にすばらしい。そして生徒たちも見事に新しい芸術作品を創造しているのです。
 写真は、サンダル・アートです。白いプラスチックの板を切り出して、美しいデザインの模様を浮かび上がらせています。
 身近なものにこそ美は宿る。現代版の民芸なのかもしれません。
  


「3年生の卒業認定をおこなう」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年02月21日19:01
 今日は、3年生の卒業認定の成績会議をおこないました。
 学年主任の荒井先生、担任の今井先生、吉田先生から生徒たちがいかに成長したのかの喜びと、そのためにいかに多くの職員がかかわったのかの御礼が、それぞれ語られました。

 就職活動をしている生徒たちはそれぞれの志望した企業・官庁に内定をいただき、総合型選抜や推薦などで進学を目指した生徒たちも無事に合格をいただいています。
 今は、国公立大学・私立大学の一般入試に例年よりも多くの生徒が挑戦しています。首都圏の難関私立大学に合格をした生徒も出てきましたし、秋の模擬試験ではE判定であった目標の大学に猛勉強の末に合格した生徒も出てきました。
 就職も専門学校も短大も大学も、それぞれが「同じように尊い」ということを前提にしたうえで、希望する生徒が、志望大学の一般入試に合格できる蘇南高校でありたいと思っています。
 
 生徒の受験はまだまだ続きます。
 学ぶことが楽しいという原点があるから、皆さんは「きっとうまくいく」と思うよ!

 (PS 写真は、我が家の庭の満開となった福寿草です。)
  


「君たちはもうすぐいなくなる」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年02月18日18:22
 昨日、2月17日(木)、約ひと月ぶりに3年生が登校しました。最後の特編授業がコロナ予防のためにオンライン授業となり、自宅研修期間中に入っての登校日も大雪警報などでオンライン授業になってしまいました。ようやくの登校!
 コロナ予防をしながらも、久しぶりに友達に会って、大盛り上がりになるのだろうなあと想像していました。

 17日の朝を迎えると、天気予報どおりの厳しい積雪です。またもや!
 それでも3年生は元気に登校してきます。
 ・・・すると彼ら彼女らは、すぐに雪かきをもって通学路や敷地の整備に黙々ととりかかるではありませんか。誰もお願いしていないのに、当たり前のことのように率先して汗を流しているのでした。
 そんなふうにひと月ぶりの登校風景が始まりました。

 ホームルームのあと、3年生が取り組んだのは、きれいな校舎をもっときれいにして後輩たちに引き渡すための壁のペンキ塗りでした。昨年度の3年生がやったことを引き継いで、残りの校舎の壁を現3年生が塗ってくれました。凍てつく寒さのなか、みんなが熱心に作業を進めました。
 おかげで校舎はピカピカです。

 爽やかな生徒たちが下校していったあと、3年生が卒業していくことの淋しさを想像して、かなり打ちのめされた校長なのでした。

  


「生徒のいのちを守るための勉強会をする」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年02月17日18:33
 2月16日(水)の職員会の冒頭で、防犯研修会をおこないました。
 このほど、本校の「さすまた」を最新式のものに買い替えたのです。普段、本校では、暴漢が乱入するなど夢にも思わず生活をしています。
 しかし日本社会では、過去にあまりにも悲劇的な事件が起こってきました。事件発生直後には一時的に防犯の意識が高まり、全国の学校で「さすまた」が購入されますが、多くの場合、あとは埃をかぶっているだけなのです。

 さすまたは熟達していなければ、効果的に使用するのは無理です。まして力の弱い教員には扱えません。今回、本校に設置した最新式さすまたは、手錠のような大きな輪で、相手を瞬間的に捕獲します。力の弱い人が使用しても、相手の動きを封じて、地面に倒すことができます。
 元警察官の原明徳さんが長年の経験をもとに学校の防犯力を高めようとして開発したのでした。今回の研修会は、原さんにお越しいただき、実際に最新式さすまたを使用して暴漢役の教員を捕獲する訓練を行いました。
 実際に「繊細な」女性教員が柔道四段の原さんを捕獲して倒し、動きを完全に封殺することができ、一同、深く感心しました。

 今回は教員向けの研修会でしたが、新学期以降、原さんを講師にした生徒向け護身術研修会も開催したいと思っています。
 普段、平穏な生活をおくっているわけですが、長い人生の中では何があるかわかりません。「万が一の事態」に備えられる力を育むのが教育の責任だと考えています。

 最新式さすまたをご覧になりたい方は、本校にお越しください。

  


「前期選抜の合格発表を行う」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年02月16日20:47
 雪が舞うなかでしたが、前期選抜の合格発表を行いました。31名の生徒が合格をしました。
 受検生が来ることはありませんでしたが、保護者の皆さんたちが我が子の番号を見て心から喜んでおられる様子を見て、私も胸が熱くなっていました。
 ひとりひとりへの合格通知は、明日には各家庭に着くと思いますので、もうしばらくお待ちください。

 合格した皆さん、蘇南高校にようこそ。本当におめでとうございます。
 4月から丘の上の翼を広げた鳥の形をした校舎で、是非、一緒に学びましょう。
 たくさんのやさしい友人・先生と、たくさんの魅力的な大人に出会いながら、自分はどのように生きていきたいのかをじっくり考える3年間になるでしょう。

 未来の人々の幸せを想像して、今を努力する「開拓者」になることが、私たちの目標です。皆さんが、「開拓者」を目指す私たちの仲間になってくれることを、楽しみにしていますね。
 
  


「カンボジアの高校やカナダの大学と交流する準備を進める」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年02月15日17:07
 本校の特色のひとつに、2年生の3月に行うカナダ語学研修があります。南木曽町から費用の半分を補助していただいていることもあり、毎年20名近くの生徒が参加しています。しかし、コロナのために、令和元年度以降、実施できない状態が続いています。
 「100を0にしない」という方針のもと、昨年度は代替企画としてイングリッシュセミナーを実施しました。しかし、直接、海外の人々との交流ができていないという課題がありました。

 この3月は、まったく新しい企画をたてました。「オンライン海外研修」です。

 3月18日(金)1日めは、カンボジアの高校生と本校をオンラインで結び、双方の文化や生活のあり方の違いについて、英語で対話をしながら理解を深めます。経済発展著しい東南アジアのいまを知るとともに、東南アジアと日本がどのような関係を築いていくべきかを考える学習会にします。
 19日(土)2日めは、カナダのブリティッシュ・コロンビア大学の学生と本校をオンラインで結び、カナダと日本の教育の違いやSDGsについて英語で対話をし、これからの世界のあり方を展望します。
 いずれのプログラムも、これまでの本校の生徒であったら、「私にはムリ」と尻込みしたでしょう。でもカナダ語学研修に申し込んでいた生徒のほとんどが、この「オンライン海外研修」に参加する意思を表明し、現在、その準備を進めています。

 「天白の丘から世界につながる高校」にするのが、私の目標です。カンボジアやカナダとつながって、生徒が成長してくれることを期待しています。

  


「中学時代の恩師に弔辞をささげる」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年02月14日19:53
 少し時計の針を戻して、11日(金)の出来事について書きます。
 ワクチン接種をした後に、私は故郷の茅野市に移動して、中学時代の恩師(担任)の告別式で弔辞を読みました。

 1980年代のはじめ、全国的に校内暴力が頻発していた時代のこと、今から思えば、たくさんの問題が起こっていたのでしょうが、私たちのクラスは担任の先生のもとで楽しい中学校生活をおくりました。半年任期・延長なしでクラス役員を改選しましたが、なぜか私はルーム長を3回つとめました(ブーメラン・ルーム長)。

 中学校とか高校というのは、スクランブル交差点の交点のようなもので、卒業後にクラスメートは散り散りになっていきます。
 2年前、卒業してから約40年が経っていましたが、担任が体調を崩しているのでお見舞いをして、同級会もやってみようということになりました。半世紀近い歳月を越えて再会した私たちの交流が始まります。
 しかし、次第にコロナの感染状況が悪化して、みんなで先生のところへ行くことができなくなり、正副ルーム長が代表してお見舞いに行くようになりました。この一年間は先生の視力が次第に弱って来たので、バイオリン教室を開いている友人を連れていき、ベッドの横でミニ演奏会を行ってきました。演奏が終わると、先生は「ブラボー」と言って、拍手をしてくれるのでした。

 正副ルーム長で読み上げた弔辞では、「私たちのT先生」が再び教え子たちの「いのち」を結び合わせてくれたことへの感謝を伝え、「これからもホームルームを続けていきますからね」と報告しました。そして先生の好きだった「見上げてごらん夜の空を」を友人がバイオリン演奏しました。

 「ささやかな幸せ」の大切さを教えてくれた恩師のことを、私はこれからもずっと尊敬していきます。