「ホタルの復活に取り組んだ生徒たちの姿を見つめて」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年12月28日10:37
 令和4年(2022年)の最後のお便りとして、総合探究発表会のときの「ホタルの里」報告を紹介してしめくくります。

 3年生の松下さん、三石さんは、「日本で最も美しい村連合」に加盟している南木曽町の観光客が減少する6~7月に、失われつつある生物多様性を復活させることで、町の活性化をはかろうと考えました。
 二人が注目したのは、ホタルの復活です。

 かつて妻籠宿にホタルを舞わせる活動を行っていた八巻さんに教えていただきながら、ホタルの餌になるカワニナの養殖をはじめます。学校の生物室で始めたこの取組は、夏の猛暑でカワニナが全滅してあえなく大失敗。
 でも二人はあきらめずに地域の貯水溝を清掃し、そこでカワニナの養殖をはじめ、秋以降は学校の暗室を舞台に、カワニナとともに、ホタルの卵の養殖を始めます。さらには校内の1・2年生の協力者を集めてプロジェクト化して、ホタルの丁寧な世話を続けてきました。

 ホタルの卵が孵り、現在は数十匹のホタルの幼虫が育ってきています。

 自分たちのプロジェクトを進める時、大きな目標を小さな短期目標に分解して、短期目標を丁寧に遂行することで、困難な大目標に近づけることが分かった、と二人は振り返っています。
 社会で生きていくときにとても大切なことを、彼らは身をもって会得したことになります。

 発表会の時には、島根県の地域・教育魅力化プラットフォームの長谷川勇紀先生が、①ロードマップをつくりプロジェクト化したこと、②授業が終わってもなおプロジェクトが継続できるようにしたことを評価してくださり、③後輩たちが引き継ぐためには二人の熱量を言語化しておくべきだとアドバイスもいただきました。

 このような若者の取組が、私たちの希望そのものなのだと思っています。

 本年も私の拙い文章をお読みくださり、本当にありがとうございました。心から御礼を申し上げます。
 どうかよいお年をお迎えください。
  


「3年生の共通テスト受験組は冬休み返上で頑張っています」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年12月27日19:06
 今日から年末年始休業です。
 でも、3年生の共通テストを受験する生徒たちは最後の追い込みの時期。Kパックという本番を想定した模擬試験を行いました。
 休み返上で頑張る生徒たちを応援すべく、15時にはデザートの差し入れをしました。

 昇降口の大きな扉のところでは、恒例の校用技師さんによる窓ふきです。汗をかきながら2名の技師さんが見事なまでにピカピカに拭き上げてくれました。まるで窓がないかのように、向こうの南木曽岳の森がこちらに迫ってきます。
 いつもこの光景に心洗われながら、年末を迎えています。

  


「今年最後の校長講話は「虹」をテーマにしました」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年12月26日17:41
 今日は、令和4年の最後の授業日でした。3コマの授業を行って昼食をとったあと、大掃除をして校舎の隅々まできれいにしました。
 そして3年生のみ大講義室に集合し、1・2年生はホームルーム教室でオンライン配信を視聴する形で「全校集会」を行いました。

 今日の私の講話は、「虹のような社会を創るために」というタイトルです。
 日本漢字検定協会の今年の漢字は、「戦」です。しかしこの漢字には、「戦ぐ(そよぐ)」という戦争とは無縁の美しい意味もあります。どれだけ目の前の物事に「豊かな言語表現」ができるかで、私たちの幸せの質がかわってくると思うのです。
 「虹」が何色かというのも世界の文化によって違っていて、ニュートンの主張した7色説が日本では自然に受け入れられていますが、当のイギリスでは虹が6色だと考えられていたり、ドイツでは5色であったり、2色という見方の地域もあるくらいです。日本社会の場合、青・藍・紫という色のことばを日常的に使っている影響も大きいのでしょう。

 そんな「豊かな言語表現」を、男と女というふたつのカテゴリーだけのジェンダー問題に応用させたら、どうなるだろうか・・・そのようなことを考えました。
(全文は、こちらです。https://www.nagano-c.ed.jp/sonan-hs/pdf/20221226_kouwa.pdf )
 
 人間は「虹」のような存在であり、さまざまな人(ジェンダーだけでなく民族とか障がいの有無なども)が一緒にこの社会を創っていくのだということ、その多様性をきちんと見つめられるような世界観をもっていくべきだということを、蘇南高校では大切にしていきたいと、しめくくってみました。
  


「地域の特産物の香りで新たな癒しを」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年12月23日13:36
 今週は、3年生の総合探究で、地域の特産物を使ったバスボム(入浴剤)の開発に取り組んだ、小川さん・原さん・森畑さんが、製品「ハートのきらめき」の販売を行いました。


 専門家のアドバイスをいただきながら、クロモジと柚の香りを抽出し、入浴時にここちよいバスボムを何回も試行錯誤をしながら作り上げたのです。キャッチコピーは、「地域の特産物の香りで新たな癒しを」。
 私も二度ほど実験台になりましたし、PTAの皆さんも試供品の感想を寄せていただきました。そうした声をもとに改良を重ねて、今回の販売にこぎつけたのでした。生徒たちの手作りなので、水蒸気蒸留をして原料から香油を精製し、クエン酸などと混合して乾燥させるまでにとてもたくさんの時間をかけています。
 指導教員が商業の松澤先生だということもあり、説明用パンフもビジュアルで内容がしっかりしています。

 販売は、地域の皆さんと保護者の皆さんに向けての2回にわたって行いました。多くの皆さんに購入していただき、本当にありがとうございました。




 私もクロモジのバスボムを購入してさっそく使用してみました。香りがやや弱かったのが課題ですが、他の点ではとても心地よい使い心地でした。
 一年間の生徒たちの苦労を思い浮かべながら、ゆっくりバスボム入りの湯船につかりました。


  


「アルディーノウギョウ班が校長会の実践報告会でプレゼンテーションをする」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年12月22日19:53
 今週の12月20日(火)に、校長会・主体性委員会が主催する実践報告会がありました。県下4地区の代表生徒たちが、探究学習の成果を報告する企画です。

 本校3年生の清水さん、森さんの「帰ってきたアルディーノウギョウ」が、中信地区の代表としてこの場に立つ機会に恵まれました。水田の水量の管理にかかる労力を軽減させるべく、水量の自動調節装置を考えた探究です。
 以前にこのブログで紹介したように、去年の3年生の探究課題を今年度の二人が引き継いで、太陽光パネルを設置したり、動作がきちんとなされているかを記録する装置をつけたりして、実用化に近づけたのでした。

 学校の外で実演しながら発表することはもちろん初めてのこと。でも二人は堂々と自分たちの試行錯誤の成果をプレゼンし、他校の先生方からの質問やコメントを一生懸命受け止めていました。
 特に嬉しかったのは、去年の3年生を指導していた藤城先生(今年度別の高校に転勤していました)がわざわざ足を運んでくれていて、次々と壁に直面する製品開発の大変さは去年も同じであったことを語り、励ましてくれたことです。

 自分たちが目指す未来の社会の姿を意見表明する清水さん、森さんは、さらにたくましくなったように見えました。
 このときの様子は、12月21日(水)付の信濃毎日新聞朝刊で紹介していただきました。もしよろしければ、ご覧ください。
  


「地元市町村の代表の皆様と蘇南高校の教育を語り合う」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年12月21日20:05
 今日は、令和4年度の地元市町村協議会が本校で開催されました。

 【本日の出席者】
   ◎南木曽町から向井町長様、早川議長代理様、向井教育長様、末松教育次長代理様
   ◎大桑村から貴舟村長様、岩佐議長様、野知里教育長様
   ◎中津川市から岩久教育長様、浅野指導主事様
   ◎本校関係者として樋口同窓会長様、松下PTA会長様、本校職員


 多くの生徒たちが通学している三つの自治体の代表の皆様が、蘇南高校の現在と未来について意見交換をするとともに、カナダ語学研修の支援を中心とした協議会会計の予算・決算を審議するというのが、協議会の趣旨です。
 会に先立って、3年生の総合探究を代表して、「ホタルの里」という探究を行った松下さん、三石さんがプレゼンテーションを行い、生徒会長の亀山さんが自分たちのスローガン「虹」についての説明を行いました。私からは、この一年間にどのような教育実践に重点をおいて、どのような成果が出ているのかを報告しました。


 「自分たちのふるさとのことを真剣に考え、ふるさとを守る若者を育てようとしている。」(貴舟村長さん)、「小さい規模だとしても力強い教育実践をしている」(岩久教育長さん)、「学習の深みが増していることがわかり、地域を元気にしてくれている」(向井町長さん)・・・といった温かなエールをいただきました。


 また、「財政支援だけでなく、地域が先生たちと一緒に魅力ある学校を作っていくことが大切であり、そのためにも生徒たちの探究が地域で活かされていくことが必要だ」(向井教育長さん)・・・といった視点についても語られました。

 地域の皆様の熱い応援に支えられて、本校の教育活動が成立していることを、私は改めて実感しました。また、生徒たちがふるさとで就職するにせよ、一度はふるさとから離れるにせよ、何らかの形でふるさとを愛し続け、ふるさとを守っていくような人間に育っていくよう、教職員一同頑張りたいと思ったのでした。
 南木曽町・大桑村・中津川市をはじめとするふるさとの皆様、是非、蘇南高校の歩みを見守っていただきますよう、お願い申し上げます。


  


「交通事故をゼロにするために活動を続けます」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年12月20日17:28
 今日は、年末の交通安全運動に協力して、生徒会の正副会長・顧問の久保田先生と一緒に、国道19号の歩道に立って、ドライバーに安全運転を呼びかける啓発活動をしました。(通称・人波作戦。)
 凍てつくような朝の冷え込みも、交通安全運動を行う昼前にはかなりゆるみ、日光の射し込む中でスタンディングができました。

 木曽郡内の国道19号は、「木曽高速」という言葉があるように、大型トラックがかなりのスピードを出して走行しており、生徒たちが横断する「三留野大橋」交差点も信号が青に変わったと思うと突っ込んでくる危険運転のトラックをときどき見かけます。
 生徒が無謀な運転の犠牲になることだけは避けたいので、木曽警察署の交通安全運動には学校をあげて協力をしたいと思っています。私たちが立っていると、トラック・自動車が明らかにスピードをゆるめて走っていくのがわかります。

 生徒たちは、生徒会主催の「ハピネス・チャージ」(全校ボランティア)のときにカーブミラーやガードレールを清掃するなど、地域の安協さんのお手伝いもしてきました。
 悲しい交通事故をゼロにするために、私たちは活動を続けていく覚悟です。

  


「玄関ロビーにクリスマスツリーを飾るために奔走する」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年12月19日17:37
 今日は、生徒会執行部の皆さんが、玄関ロビーにクリスマスツリーの飾りつけをしました。
 これが登場すると「年末気分全開」になります。

 実は、先週の金曜日に飾りつけをしたのですが、イマイチ気分が盛り上がりません。なぜだろうと考えると、先日、坂下駅のイルミネーションを作った記憶が鮮明で、それと比べてイルミネーションが足りないのです!(なんてこった…)

 「土日に新しいライトを買い足してあげるよ」と私は気軽に約束をして生徒を喜ばせたものの、この土日、飯田市内のホームセンター、家電量販店、どこにいっても商品がありません。そうなのです。世の中はもう「門松シフト」なのです。
 結局、松本市のトイザらスでようやく見つけて、生徒たちとの約束を果たしました。

 わが子にプレゼントの希望を聞いて、それを必死で探し回った昔のことを思い出したクリスマスとなりました。
 でも輝くクリスマスツリーがうまれて、生徒たちの笑顔も輝いていました。
 お父さんはほっとしたよ。
  


「3年生の進路合格先の中間報告です」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年12月16日16:32
 3年生は、9月から今日まで就職・進学それぞれのキャリアデザインを実現すべく、努力を重ねています。
 もちろんこれから大学入学共通テストをはじめとする一般選抜が始まりますから、進学用の特編授業で熱心に受験勉強をしている生徒たちと、これから就職試験を受ける生徒たちを心から応援したいと思います。

 以下に12月上旬までの就職内定先・進学合格先の中間報告をします。今年は、南木曽町内に就職する生徒が増えました。また、4年制大学の学校推薦型選抜の合格者も増えました。専門学校は、看護医療・介護をはじめとするいのちにかかわる分野への合格者が増えています。

【就職】(官公庁・企業、五十音順、敬称略)
①木曽郡内:南木曽町役場、上松電子株式会社、大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツ株式会社、株式会社御菓子司田ぐち、株式会社勝野木材、株式会社名工土木、木曽精機株式会社、南木曽発条株式会社、有限会社源次商店
②長野県内:諏訪広域連合(消防職員)、株式会社MKCO.、KOA株式会社、日本郵便株式会社信越支社、LUCIDO STYLE La Luce
③県外東濃:株式会社愛工機器製作所、株式会社恵那川上屋、株式会社恵那金属製作所、株式会社デンソーテン中津川製作所、中津紙工株式会社、東美濃農業協同組合、本多金属工業株式会社、ランドプロス株式会社
④県外その他:株式会社エイティーンインターナショナル、株式会社原田、山崎製パン株式会社

【進学】(国公立・私立、長野県以外は地理順)
①4年制大学:信州大学(経法)、東京経済大学(経済)、金沢工業大学(建築)、山梨学院大学(スポーツ科学部)、愛知学院大学(健康科学)、愛知工業大学(工学)、至学館大学(健康科学)、椙山女学園大学(人間関係)、中部大学(人文)、東海学園大学(教育)、名古屋商科大学(経済)、岡山理科大学(生物地球)
②短期大学:飯田短期大学(看護・幼児教育)、信州豊南短期大学(言語コミュニケーション)、愛知学院大学短期大学部(歯科衛生士)
③大学校・専門学校:信州木曽看護専門学校(看護学)、長野福祉大学校(保育学)、エプソン情報科学専門学校(情報システム)、信州介護福祉専門学校(介護福祉)、長野救命医療専門学校(柔道整復師)、東北外語観光専門学校(国際コミュニケーション)、群馬調理師専門学校(調理師)、高崎動物専門学校(ドッグトレーナー)、東京動物専門学校(動物管理)、あいち福祉医療専門学校(介護福祉)、河合塾学園トライデントコンピューター専門学校(サイバーセキュリティ)、河合塾学園トライデントデザイン専門学校(総合デザイン)、中日美容専門学校(美容科・美容師)、名古屋ECO動物海洋専門学校(エコ・コミュニケーション)、名古屋こども専門学校(こども総合)、名古屋動物専門学校(動物管理)、名古屋ビューティーアート専門学校(美容)、名古屋リゾート&スポーツ専門学校(アスレティックトレーナー)、京都コンピューター学院(ゲーム開発)、大阪外語専門学校(アジア言語ビジネス)

3月に向けて、この一覧がさらに長くなっていけるよう、がんばります。
  


「蘇南高校・健康寿命100歳プロジェクト」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年12月15日16:45
 校長の重要な責任の一つは、教職員の健康を守ることです。
 先日、職員の健康診断をしてくださった校医の篠崎先生から「定年まで働ける健康を守る必要性」を説かれ、あらためて自分の努力不足を感じました。

 平均年齢34歳の本校の若い先生方は、ランチを菓子パンやカップラーメンで済ませて、夜遅くに夕食をしっかりとる傾向にあります。その結果、健康診断で心配な点がいくつも見つかってきます。

 そこで先週、職員会で篠崎先生からご指導いただいたことを共有し、「朝食とランチ」に食事のウェイトを移すべきことを訴え、栄養バランスのよい安価なランチを提供していただくべく、校長自ら南木曽駅前のお店に相談してまわりました。

 その結果、従来から多彩なおかずを用意してくださっている橋本屋さんに加え、「若い先生たちのためならば!」と、スーパーの金沢屋さんとサンショップ・イシカワさんが週1回、魚や野菜などを意識した手作りお弁当を安価に作ってくださることになりました。
 「校長先生も食べるんですよね」とイシカワさん。――そのとおりなのです。

 こうして「蘇南高校・健康寿命100歳プロジェクト」が始まり、今週からランチの風景が一変しました。
 こんな厚い焼き鮭をいただけるなんて! 鯖の煮つけにカキフライ! 原価計算、大丈夫かなあ・・・と、お店のことを心配しつつ、昼食休憩の時間に、南木曽のお店の温かな優しさのつまったお弁当をいただいています。

 南木曽町のお店の皆さん、本当にありがとうございます。涙が出そう…