「ホタルの復活に取り組んだ生徒たちの姿を見つめて」

 令和4年(2022年)の最後のお便りとして、総合探究発表会のときの「ホタルの里」報告を紹介してしめくくります。

 3年生の松下さん、三石さんは、「日本で最も美しい村連合」に加盟している南木曽町の観光客が減少する6~7月に、失われつつある生物多様性を復活させることで、町の活性化をはかろうと考えました。
 二人が注目したのは、ホタルの復活です。

 かつて妻籠宿にホタルを舞わせる活動を行っていた八巻さんに教えていただきながら、ホタルの餌になるカワニナの養殖をはじめます。学校の生物室で始めたこの取組は、夏の猛暑でカワニナが全滅してあえなく大失敗。
 でも二人はあきらめずに地域の貯水溝を清掃し、そこでカワニナの養殖をはじめ、秋以降は学校の暗室を舞台に、カワニナとともに、ホタルの卵の養殖を始めます。さらには校内の1・2年生の協力者を集めてプロジェクト化して、ホタルの丁寧な世話を続けてきました。

 ホタルの卵が孵り、現在は数十匹のホタルの幼虫が育ってきています。

 自分たちのプロジェクトを進める時、大きな目標を小さな短期目標に分解して、短期目標を丁寧に遂行することで、困難な大目標に近づけることが分かった、と二人は振り返っています。
 社会で生きていくときにとても大切なことを、彼らは身をもって会得したことになります。

 発表会の時には、島根県の地域・教育魅力化プラットフォームの長谷川勇紀先生が、①ロードマップをつくりプロジェクト化したこと、②授業が終わってもなおプロジェクトが継続できるようにしたことを評価してくださり、③後輩たちが引き継ぐためには二人の熱量を言語化しておくべきだとアドバイスもいただきました。

 このような若者の取組が、私たちの希望そのものなのだと思っています。

 本年も私の拙い文章をお読みくださり、本当にありがとうございました。心から御礼を申し上げます。
 どうかよいお年をお迎えください。
「ホタルの復活に取り組んだ生徒たちの姿を見つめて」