「自分だけが楽しくても本当に楽しいとは言えない」

 今月の16日(火)に今井先生が2年「体育」の研究授業を行いました。

 実は、私は小学校・中学校・高校時代を通して、体育の授業が嫌で嫌で仕方ありませんでした。
 今でこそ登山が趣味なのですが、とにかくスポーツが苦手で、友人の足手まといになることが心苦しかったのです。今でも鮮明に覚えているのは、小学校の頃、放課後にベースボールをやるときにチーム編成をしたときのことです。スポーツ万能のリーダー格の少年2名が「取りケン」と称してジャンケンをし、勝った方からチームのメンバーを指名していきます。最後に私(!)が残り、2名がジャンケンし、勝った友人が、一言、「いらない」と言い切りました。(現代ならば、いじめ問題です。)

 今井先生の授業の話に戻ります。今回の単元、バレーボールについて、今井先生は毎回、スモールステップを刻みながら習得する目標を定めています。それを授業の冒頭で共有して、授業の最後にどれだけできるようになったのかを振り返ります。
 この精密なルーブリックづくりには感心させられます。

 そして、その目標をみんなが達成できるように、バレーボールが得意な生徒は、苦手な生徒に寄り添っていくのです。「自分」が目標を達成したことが喜びなのではなく、「みんな」で目標を達成したことに喜びを見出す。「自分だけ楽しくて、本当に楽しいと言えますか?」…これが、今井先生が1年生の頃から生徒たちに強調してきたことです。
 この今井イズムの浸透ぶりは、目を見張るものがありました。

 授業の途中での振り返りも、互いに、ここは出来てきたよね、今度はここを目指したいよね、と生徒たちは、お互いに声をかけあっているのでした。
 「自分もこの授業を受けたかったよね」と、私だけでなく、他の教員も互いに語り合っていました。

 教科の学習を通して人間としての大切な生き方を学べることは素晴らしいだと、私は今井先生の授業に出会えた幸せをかみしめています。
「自分だけが楽しくても本当に楽しいとは言えない」