「準備していたことを、いよいよ始める」

 長野県では、4月10日から2週間を「感染対策強化月間」と位置づけ、全県立高校を4月24日(金)まで臨時休業とすることになりました。今回は新年度のスタートの時期ですから、学校生活に対する影響は断然大きくなると言わざるをえません。
 蘇南高校では、4月3日の職員研修会のさいに、先生方がみんなで考えたことをもとに、生徒の学業・メンタル・特別活動等を“多面的に”支えるための方策をとることにします。

 その1。学習支援については、課題をスモールステップ(2週間を3期間に区分しました)で学び、分散登校によって、その都度、丁寧に振り返ることとしました。分散登校は学年別とし、せっかく登校した生徒に全教員が関われるようにしました。生徒が、「こういうふうにやっていくんだ」という実感をもって学んでいけるようにしようと思います。この方式を2週間行い、この間に次のステージとしてe-ラーニングとの組み合わせを研究します。

 その2。相談体制を構築しました。やや日数の多い第2期には、担任・副担任ですべての生徒に電話をかけて声がけをする予定です。また、「蘇南高校・気軽な電話窓口」を開設し、相談したいこと、普通におしゃべりがしたいことを受け付け、全学年の教員が当番を組みました。一斉休業の最大の課題は、学力低下ではなく、「生徒の孤立」だという未来予測に基づいています。雑談を作り出すことに価値があります。

 その3。生徒会活動や部活動について、休業期間中は自粛となりますが、自宅にいる状態で、生徒会とか部活動とかのメンバーが情報交換しながらできる「個人の活動」に、是非取り組むよう、呼びかけました。今日の放課後は、その打ち合わせをする姿があちこちにありました。一斉休業があけたら、校長主催の「ブリコラージュ賞」に、休業中の取組を応募しようと呼びかけました。

 その4。そのほかの細かな配慮を伝えました。夏の水泳は中止するので水着は買わなくていい。定期券の払い戻し方法。PTA総会の延期。生活指導の要点(とくにSNS)。家計が急変した家庭への支援制度の連絡。

 18時頃、教員のチームが汗を流して全校舎のドアノブ、スイッチ、手すりを消毒しています。先生方は、それが終わってから第2期の課題の作成に尽力することになります。
 先生方が倒れるようなことがあってはいけないと、強く思う今日です。
 
 今日の全校放送で、私が生徒に訴えたのは、次のようなことでした。
「ただ、何となく一斉休校に巻き込まれて、何となく孤独になって、日々ぼうっと生きて…、というのはやめよう。一斉休校になっても、できることはたくさんある。自分のもっている知識・経験を総動員して、未来のために、今できることを精いっぱいやろう。それができるようになったならば、この一斉休業を、プラスの経験にできる! 蘇南高校は負けない!」

 それで、一斉休業の直前の日の最後に何が起こったかというと、19時少し前、藤城先生が、校舎の前の桜のライトアップをしてくれたのです。木曽川にのぞむ谷の中に見事に満開の桜が浮かび上がりました。この風景、私は一生、忘れないでしょう。
「準備していたことを、いよいよ始める」