「前に進むために笑う」

 いよいよ月曜日から通常登校の再開です。4月10日から約50日の長い臨時休校にようやく区切りをつけることになりました。
 ただし、今日、オクレンジャーで生徒の皆さんに伝えたように、明日からの登校を心から喜んでいる人もいれば、不安で心の重荷になっている人もいるかと思います。登校日が近づくことで心が苦しい人は、ひとりで抱え込まずに、是非、担任に電話をしてくださいね。

 この50日を振り返ると、私たち教職員は、心が折れそうになった局面が何回もありました。
 突然の休校決定に直面して、どうやって学びの支援をつくっていったらいいのだろう。どうやって、家に閉じ込められてしまった生徒とつながればいいのだろう。必死に考えても答えがなかなか出ない。やろうと準備していたことが、感染拡大に伴う政府の新たな決定で、できなくなってしまう。
 試行錯誤の繰り返しで、前に進んでいるどころか、後退している気持ちに、何度もなりました。

 そのようななかで、大きく「救われた」気持ちになったことが2回ありました。いずれもこのブログで報告しているのですが、1回目は、バドミントン部のみんなが、それぞれの家庭で遠くに置いたマグカップにシャトルを打ち込む姿をつなげ、最後に「One 蘇南!」とメッセージを発した動画を、教職員に贈ってくれたとき。
 2回目は、全校のみんなが、「先生ありがとう」メッセージを寄せてくれ、それを3年生のひとりの女子が切り絵・折り紙に飾られた美しいアルバムにして、動画とともに教職員に贈ってくれたとき。
 この2回の蘇南高校の生徒の皆さんからのエールをもらえたからこそ、私たち教職員もここまで歩んでこられたのだと思っています。

 実は、今週の水曜日にバドミントン部の代表の生徒が、「これを使って先生方に元気になってほしくて…」と休校中に作成した、日めくりカレンダーを校長室に持ってきてくれました。
 1日から31日まで部員たちの「超ヘン顔」がめくるたびに出てくる、傑作カレンダーです。添えられていた手紙には、こう書いてありました。

「笑いは免疫力を
向上させるそうです。
毎日これを見て
健康に過ごせるように
と思って作りました。
  バドミントン部一同」

 ここに並んだ男子・女子の「超ヘン顔」はこのブログでお見せ出来ないほどすさまじいものです。TVの芸人さんも真っ青くらいの出来。女子がここまでのヘン顔ができるって、やっぱりメンタルが鍛えられているんだなあと、ヘン顔写真集をめくりながら、はたと気づきました。
 このカレンダーを作ったとき、彼ら彼女らは、「インターハイ中止」and「インターハイ予選中止」という現実の中にいたのです。インターハイに出場することを目指して、県下各地から蘇南高校に進学してきて、毎日の厳しい練習に耐え、「今回のコロナにも負けない。一緒に頑張ろう」と、先生を励ましてくれたバドミントン部の生徒たちが、残酷にもその一番の目標をコロナに奪われた、そのときに(!)、生徒のほうから先生に「一緒に笑って、生きていこう」と声をかけてくれたわけなのです。

 …なんという生徒たち!

 こうして3回目もまた、私たちは生徒たちから力をもらいました。

 実は、日めくりカレンダーの「30日」は、過去の表彰式の写真です。そこには、「“当たり前”じゃない」という言葉が添えられています。
 そして「31日」は部員全員の美しい笑顔の集合写真です。そこには、「仲間がいるから強くなれる!この一瞬に感謝」という言葉が刻まれていました。

 …あなたたちは…!

 私もまた、バド部のみんなと出会えた「この一瞬」に、心から感謝しています。
 本当にありがとう!


「前に進むために笑う」