「真空地帯の泉のような学び」
Posted by 蘇南高等学校長.
2020年06月03日22:20
臨時休業に入る直前、私は全校の生徒の皆さんに、「やむなくステイホームになっても、そこでできる学びは色々あるから、是非、自分なりの学びを考案して取り組んでみてほしい。そして休み明けに、校長主催の『ブリコラージュ賞』に応募してほしい」と呼びかけていました。
そして先週から今週にかけて、続々と、生徒たちの「ブリコラージュ賞」への応募が寄せられています。
これが実に面白い。
まず「団体部門」。
自宅にいる状態で、部活動などのメンバーが情報交換しながらできる「個人の活動」に、取り組むものです。
このブログでも報告しましたが、3年の女子の呼びかけで全校の生徒の皆さんが寄せてくれた「先生ありがとうメッセージ」が、美しい切り絵・折り紙に彩られたアルバムと動画となって私たち教員に届けられました。呼びかけた女子生徒が、SNSで集めた全校生徒のことばを色紙の吹き出しにひとりひとりすべて(!)書き写してくれていました。
1年の坂下中学校出身者の皆さんが、移りゆく春の美しい動画を作ってくれたことも、すでにブログで紹介しました。
2年A組の生徒たちは、クラスの一人一人が、コロナに負けないぞという意志を表すメッセージとともに紙飛行機を飛ばす光景をつないで、素敵な動画を作りました。模造紙のような大きな紙飛行機を豪快に飛ばす生徒もいれば、思いをしっかり伝えてそっと紙飛行機を飛ばす生徒もいます。ひとりひとりの個性が見事に表現されています。ちなみに全員がちゃんと制服を着ているところも、いかにも蘇南の生徒らしく微笑ましい。
女子バスケットボール部の生徒たちは、個人練習をつないで一冊のノートを仕上げました。各自の縄跳びとか走り込みとかダンスの記録が並んでおり、一日で一人縄跳び2000回(!)といった数字が並んでいることに、私はびっくり。
音楽部の生徒からは、休み中の個人練習をつないだ成果をこれから実際に見せてくれるという予告をいただいています。
そしてブログでも紹介したように、バドミントン部の皆さんのマグカップへのシャトル打ち込みの動画や日めくりカレンダーが届けられてきたわけですが、その後も「こんな動画もあります」と入れ替わり生徒がやってきて、校長室で動画を見せてくれます。「イッテQ~Qチューブ」ばりの凝った演出による面白動画もあれば、ミュージカル俳優競演の「民衆の歌」の向こうをはった、バド部版ミュージカルの動画もあります。ちなみに保護者から聞いた話だと、南木曽から昼神温泉まで走り込みに行った生徒がいる(清内路峠を越える約20km)とか、南木曽から日義まで行こうとした生徒がいる(距離約35㎞+高低差約370mの上り)とか、下宿生を中心に町中でボランティアをやっていたようだ(高齢者世帯一軒分の片づけをやった、家のトタン屋根の補修をやった、など)とか、もう「ドラエモンのポケット」状態。ただし、それはインターハイ出場を目指して県下各地から本校に集ってきたのに、その目標の機会そのものが失われた哀しみの中での「負けないぞ」という活動だったのだと思います。
次に「個人部門」。
ある生徒は、自分の集中力がどれだけ持続するかを極限まで試すために、千ピースパズルを四枚も完成させました。「意外と自分の集中力があると発見」したのだとか。素晴らしい!
別の生徒は、荒れ地を開墾して自給自足生活を目指しました。これもいい!こんな取組が出現するとは想像もできませんでしたよ。
さらに別の生徒は、好きな読書が思い切りできるとばかり、37冊の本を読破しました。先生たちにお薦めの本を聞いて、それを試すということもしていて、本にもバリエーションがあります。
自分とまわりの友人を素材にして素敵な小説を書き上げた生徒もいます。高校生の誠実さとやさしさがひしひしと伝わってくる好作品。
健康のために毎日散歩をしたときに美しい自然と出会い、それを撮影してアルバムにしている最中で、もうすぐ届けますと、予告をくれた生徒もいます。…などなど。
前回のブログの表現の繰り返しなりますが、「ブリコラージュの力」(自分の持っているものを組み合わせて壁を突破すること)を発揮して生徒たちは頑張ったのです。
今回、不条理にもステイホームを余儀なくされた生徒は、「真空地帯の泉のような学び」に取り組みました。学校という空気が一時的になくなった真空地帯で、教員があらかじめレールをしいたわけではない、生徒自身の内面からわきあがった「やってみよう」という泉のような好奇心が、こうした多様な試みの花を咲かせたのでした。
心から拍手です!
そして、学校が再開された後にも、「真空地帯の泉のような学び」が生まれるようにするためには、どうしたらよいのか。このことを私は学校づくりの課題にしたいと考えています。
そして先週から今週にかけて、続々と、生徒たちの「ブリコラージュ賞」への応募が寄せられています。
これが実に面白い。
まず「団体部門」。
自宅にいる状態で、部活動などのメンバーが情報交換しながらできる「個人の活動」に、取り組むものです。
このブログでも報告しましたが、3年の女子の呼びかけで全校の生徒の皆さんが寄せてくれた「先生ありがとうメッセージ」が、美しい切り絵・折り紙に彩られたアルバムと動画となって私たち教員に届けられました。呼びかけた女子生徒が、SNSで集めた全校生徒のことばを色紙の吹き出しにひとりひとりすべて(!)書き写してくれていました。
1年の坂下中学校出身者の皆さんが、移りゆく春の美しい動画を作ってくれたことも、すでにブログで紹介しました。
2年A組の生徒たちは、クラスの一人一人が、コロナに負けないぞという意志を表すメッセージとともに紙飛行機を飛ばす光景をつないで、素敵な動画を作りました。模造紙のような大きな紙飛行機を豪快に飛ばす生徒もいれば、思いをしっかり伝えてそっと紙飛行機を飛ばす生徒もいます。ひとりひとりの個性が見事に表現されています。ちなみに全員がちゃんと制服を着ているところも、いかにも蘇南の生徒らしく微笑ましい。
女子バスケットボール部の生徒たちは、個人練習をつないで一冊のノートを仕上げました。各自の縄跳びとか走り込みとかダンスの記録が並んでおり、一日で一人縄跳び2000回(!)といった数字が並んでいることに、私はびっくり。
音楽部の生徒からは、休み中の個人練習をつないだ成果をこれから実際に見せてくれるという予告をいただいています。
そしてブログでも紹介したように、バドミントン部の皆さんのマグカップへのシャトル打ち込みの動画や日めくりカレンダーが届けられてきたわけですが、その後も「こんな動画もあります」と入れ替わり生徒がやってきて、校長室で動画を見せてくれます。「イッテQ~Qチューブ」ばりの凝った演出による面白動画もあれば、ミュージカル俳優競演の「民衆の歌」の向こうをはった、バド部版ミュージカルの動画もあります。ちなみに保護者から聞いた話だと、南木曽から昼神温泉まで走り込みに行った生徒がいる(清内路峠を越える約20km)とか、南木曽から日義まで行こうとした生徒がいる(距離約35㎞+高低差約370mの上り)とか、下宿生を中心に町中でボランティアをやっていたようだ(高齢者世帯一軒分の片づけをやった、家のトタン屋根の補修をやった、など)とか、もう「ドラエモンのポケット」状態。ただし、それはインターハイ出場を目指して県下各地から本校に集ってきたのに、その目標の機会そのものが失われた哀しみの中での「負けないぞ」という活動だったのだと思います。
次に「個人部門」。
ある生徒は、自分の集中力がどれだけ持続するかを極限まで試すために、千ピースパズルを四枚も完成させました。「意外と自分の集中力があると発見」したのだとか。素晴らしい!
別の生徒は、荒れ地を開墾して自給自足生活を目指しました。これもいい!こんな取組が出現するとは想像もできませんでしたよ。
さらに別の生徒は、好きな読書が思い切りできるとばかり、37冊の本を読破しました。先生たちにお薦めの本を聞いて、それを試すということもしていて、本にもバリエーションがあります。
自分とまわりの友人を素材にして素敵な小説を書き上げた生徒もいます。高校生の誠実さとやさしさがひしひしと伝わってくる好作品。
健康のために毎日散歩をしたときに美しい自然と出会い、それを撮影してアルバムにしている最中で、もうすぐ届けますと、予告をくれた生徒もいます。…などなど。
前回のブログの表現の繰り返しなりますが、「ブリコラージュの力」(自分の持っているものを組み合わせて壁を突破すること)を発揮して生徒たちは頑張ったのです。
今回、不条理にもステイホームを余儀なくされた生徒は、「真空地帯の泉のような学び」に取り組みました。学校という空気が一時的になくなった真空地帯で、教員があらかじめレールをしいたわけではない、生徒自身の内面からわきあがった「やってみよう」という泉のような好奇心が、こうした多様な試みの花を咲かせたのでした。
心から拍手です!
そして、学校が再開された後にも、「真空地帯の泉のような学び」が生まれるようにするためには、どうしたらよいのか。このことを私は学校づくりの課題にしたいと考えています。
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
カテゴリ
最近の記事
「校長最後の日に学校がみんなのためのミュージアムになる」 (3/31)
「誰でも学びに積極的になれる力をもっている」 (3/30)
「蘇南高校の生徒たちに語りかけたことばがロシア語になる」 (3/29)
「学ぶ意義を確認しながら着実に学び続ける」 (3/28)
「この桜の花びらの数くらい」 (3/27)
「雑誌『思想』4月号はなんと歴史教育の特集です」 (3/25)
「3年間で“最初で最後の”盃を先生方とくみかわしました」 (3/24)
「学生時代に授業中に寝ていそうな先生は校長先生」 (3/22)
過去記事
最近のコメント
お気に入り
ブログ内検索
QRコード
インフォメーション
アクセスカウンタ
読者登録
プロフィール
蘇南高等学校長