「中津川市の中学校を訪問して歩く」

 蘇南高校の生徒の3分の1は、岐阜県中津川市内の中学校から県境をこえて通学しています。(実は職員の3分の1も中津川市から通勤しています。)これほど県境の両方から生徒を集めている高校というのは、長野県立高校でも独特の存在だと思います。
 今日は、中津川市立の中学校の4校(阿木中学校、第二中学校、苗木中学校、第一中学校)を訪問して、蘇南高校の近況や体験入学の予定などを校長先生に報告しました。もちろん私にとって他県の中学校を訪問するのは初めてのこと。
 どの中学校も校長先生をはじめ、出会った先生方がとても明るく親切で、私のほうが励まされて一日を過ごしました。蘇南高校はひとりひとりを大切にする高校で、この春も多様な進路実現をきちんと支援したということを報告させていただきました。
 中津川市立中学校の校長先生方、本当にありがとうございました。

 県境としての南木曽は、ドイツとフランスの国境地帯であるアルザス・ロレーヌ地方に通ずるものがあると思っています。
 戦争ごとに帰属する国を、ドイツとフランスのあいだで交互に変更させられてきたアルザスは、しだいにドイツ・フランスのいずれでもない、独自なアルザスという意識を育みました。今回、蘇南高校では、コロナの臨時休校に伴い、県庁から「県境をまたぐ人の移動の自粛」が求められました。
 生徒・職員の3分の1が岐阜県から通う本校は、機能停止の危機です。私は、「独自な蘇南」という立場を長野県庁に説明する(そして温かく理解していただきました)とともに、「蘇南はひとつ」だと生徒に訴えてきました。

 なだらかな扇状地と段丘の中津川の風景から、峻厳な山岳地帯の谷間の南木曽の風景に移り変わっていく「世界の変化」を帰路に眺めながら、「生徒の皆さんはどのような思いで南木曽に来てくれるのだろうか」と考えました。「ひとつ」とは言え、風景は明らかに違うのです。
 「美しい自然環境の中で、温かい心に包まれ、人と人を“つなぐ”高校」…そんな蘇南高校の学校づくりをしたいと改めて思いました。
「中津川市の中学校を訪問して歩く」