「贄川のトチの木に出会う」

 今日は、午前中に校長会の教育課題研究部会の会議に出席しました。会場の総合教育センターから、午後の進路講話をすることになっている上松中学校へ移動です。
 ちょうど昼休みの時間帯に、今は塩尻市になっている旧楢川村の贄川地区にやってきました。実は、国道19号の脇に、樹齢1000年と言われている「贄川のトチの木」があります。駐車場も開設されているので、初めて自動車を停めてみました。

 「おおっ」と思わず声をあげてしまいます。何という迫力でしょうか。個人の私有地の大木で、代々大切に守られてきたものだと聞いています。樹高25m、目通り幹囲8.9m、何より天高く枝をほぼまっすぐに伸ばしているその立ち姿の美しいこと!
 しかも日本史で言えば、平安時代の頃から木曽谷で生きる人々の「いのち」を見守っていることになります。これを「いのち」の不思議と言わずして、何と言えばよいのでしょうか。

 私は古木と向き合うのが好きです。長野県のあちこちの古木と向き合い、その息遣いを感じ取ることが好きです。昔、作家の高田宏さんと懇談をさせていただいたとき、「小川さん、屋久島の縄文杉の根元に立った時、杉が呼吸していることがはっきりわかるんだよ」と高田さんから聞きました。
 呼吸の音を聞くまではいきませんが、贄川のトチの木の前に佇んだとき、木に自分が包まれると思ったのでした。

 今回は、木曽地方の古木との出会い第1回でした。さあ、これからあちこちの古木と出会う旅の始まりです。


「贄川のトチの木に出会う」