「かかわらなければ この愛しさを知るすべはなかった」

 先週の木曜日、金曜日と2日続けて、1学年PTA・3学年PTAを開催しました。1学年は総合学科カリキュラムの系列選択の説明を中心に、3学年は就職・進学の進路実現に向けたスケジュールの説明を中心に行いました。
 ともに大勢の保護者の皆様にお越しいただきました。心から御礼を申し上げます。

 3学年PTAの冒頭、校長あいさつでは、塔和子さんの詩を紹介しました。
 実は恥ずかしながら、私が塔さんの詩を知ったのは、つい1週間ほど前のこと。土曜日の朝、何気なく見たNHKの「あの人に会いたい」が、ハンセン病による強制隔離政策の犠牲になり、療養所で一生を過ごした塔和子さんの生き方を紹介していて、私は深い感動を受けたのでした。早速、古書店から全集本を取り寄せて、読みふけり、職員会、1学年PTA、3学年PTA…と別々の詩を紹介しながら、塔和子さんの詩をとおして『生きる』ということを考えてみました。


   胸の泉に
            塔 和子

 かかわらなければ                
 この愛しさを知るすべはなかった         
 この親しさは湧かなかった            
 この大らかな依存の安らいは得られなかった
 この甘い思いや                 
 さびしい思いも知らなかった           

 人はかかわることからさまざまな思いを知る    
 子は親とかかわり
 親は子とかかわることによって
 恋も友情も
 かかわることから始まって
 かかわったが故に起こる

 幸や不幸を
 積み重ねて大きくなり
 くり返すことで磨かれ
 そして人は 人の間で思いを削り
 思いをふくらませ
 生を綴る

  (……)

(小川から保護者の皆さんへ)
 詩人が言うように、「かかわった」からこそ、深い喜びや深い悲しみが、私たちには生まれます。
 私が、今、保護者の皆さんにお伝えしたいのは、かかわり、積み重ね、磨かれてきた親と子の「一緒の生活」は、残り半年で「終わってしまう」という厳然たる事実です。あと半年でお子さんは、家からいなくなるのです。家から会社に行くお子さんもいるかもしれませんが、その場合でも、もう今までのような関係ではいられません。お子さんの心は、家にはなくなります。
 そんな「かかわる」最後の半年です。
 この最後の半年に、親としてどう子どもを支え、どう自分の大切な言葉を子どもに贈るのか、親の一世一代の大仕事だと思います。
 私も皆さんを心から応援していきます!
「かかわらなければ この愛しさを知るすべはなかった」