「この瞬間の大切さ、みんなと会える日々の大切さを知る私たち」
Posted by 蘇南高等学校長.
2020年07月29日22:30
今日は、朝、木曽福島~塩尻間のみが運転を見合わせましたが、その間の駅から来る生徒について遅刻分を公欠扱いとし、通常日課の授業をしました。用意したオンライン授業を試したかったのですが、(嬉しいことに)お蔵入り。でもまたこの日課の出番は、台風シーズンも含めてあるのだと思っています。
校長室には、廊下で会話をする生徒たちの声が聞こえてきて、これがなかなか面白い。雨の降り方が強くなると、「ヤバイ、JRの運行状況を見てみよう。」(←教頭と同じ感覚)…コロナ第2波のことを話しながら、「もしまた臨時休校になったら、オレ、今度はブリコラージュ賞にチャレンジしよう」(←校長にわざと聞こえるように言っているかも)…
生徒の言葉は小説を読むように人の心をひきつけます。
昨日の県議さんの視察のなかで、生徒会長の伊藤さんが、コロナをくぐりぬけた学びについて意見発表をしました。私はまったく添削をしていません。テーマをふって、伊藤さんが一晩でスピーチ原稿の構想を練ったものです。伊藤さんの許可を得て、採録します。
「休校を通して」
「私は休校中の経験を通して、様々なことを学び成長できたように思います。
ひとつは部活動のことです。私は、休校当初はこの状況の深刻さを理解していませんでした。部活の仲間たちと大会までの練習が潰れてしまうからと自主練習に励んでいました。そんななか、先生から大会の中止を告げられ、改めてこの状況の恐ろしさ、深刻さを感じさせられました。私たちにとって最後の大会に出られないことは、とても悲しいことでした。過去の自分たちへの後悔や、悔しい気持ちがたくさん押し寄せました。それでも部の仲間たちとは、連絡を取り合って、少しでも何かを続けようと約束しました。今までみんなで練習を出来たことは、特別なことだったのだと思いました。そして、今まで当たり前のように練習していた日々がかけがえのないものだと感じ、本当に感謝しています。
2つ目は、学び方についてです。休校が続く中で私は授業が出来ないこと、先生や同級生に会えないことがとても不安でした。3年生のゼロ学期である春休みの期間も、どんな風に勉強していけば良いのかわからず、課題をこなすのみになっていました。学校からオンラインでのSHR、動画での学習が始まったことで不安は少し解消されました。また、画面越しにでもみんなに会えることはすごく元気を貰えました。動画学習はデメリットもあるとは思いますが、初めてやる範囲などでも自分のペースで学べることなど、とても便利でした。私は、動画学習の経験から現在はオンライン授業についての総合研究を行っています。今後、このような学校のあり方も可能性として考えられると思います。学ぶ手段のひとつとしてオンラインを利用することでたくさんのメリットが生まれるからです。
3つ目はオンラインの可能性についてです。(……)例えば、オンラインを利用すれば、普段は遠くて会えない人や、より多くの人数での繋がりを作ることが可能になります。私は休校の期間に何度かオンラインイベントに参加させて頂きました。100人以上が参加しており、普段の自分ならその場での発言はしません。ですが、様々な意見が同時に飛び交うオンライン上でなら、自分も質問をすることが出来ました。海外からの参加の方もいて、オンラインの可能性をとても感じられました。
最後は蘇峡祭についてです。休校によって本来行うはずだったイベントがいくつか無くなってしまい、文化祭は出来ないかもしれないと不安でした。そんな時に校長先生が私たちを全力でサポートする、と仰って下さり、その言葉に本当に励まされました。登校日には生徒会で話し合いを行い、休校中に個人で考えてくるというのを繰り返し、なんとか準備を進めていきました。校長先生が対面式で仰っていた、「出来ないことを考えるのではなく、今だからこそ出来ることを考える」という言葉は私の考え方を変えるきっかけにもなりました。この状況で文化祭をやることはどんな意味があるのかを考え、自分が出来ることは全力でやろうと思いました。今年の文化祭のテーマは「青春と一瞬~想像以上の自分へ~」です。この瞬間の大切さ、みんなと会える日々の大切さを知る私たちにとってこのテーマはぴったりでした。休校が開けてから大急ぎで準備を進める中、大雨による臨時休校もあり、本当に大変でした。しかし、忙しくても、大変でも、仲間と協力して取り組む時間は本当に楽しく充実していました。休校以前の私ならきっとこのように考えることはできなかったと思います。やりたいことも思うように進められず、1人で過ごしている時間があったからこそ、最後までやり遂げられたように思います。蘇峡祭本番はあっという間でした。ですが、本当に濃い時間になりました。この瞬間のために費やしてきた時間で私はたくさん成長出来たと思います。
私は休校期間、文化祭での経験はこれからの自分にとって必ず役に立つと思います。これから先、進路に向けて進んでいく中でもこの経験を生かして更に成長できるよう努力して行きたいです。」 (終)
コロナ禍をくぐりぬけて、生徒は本当にたくさんのことに気付き、懸命に自分の目標を実現しようとしています。
伊藤さんのスピーチにある、「この瞬間の大切さ、みんなと会える日々の大切さを知る私たち」という表現に、私は胸がいっぱいになります。
生徒たちは、私たちにとって「教え子」であると同時に、ともに手を携えて歩む「パートナー」なのだと、コロナ禍をくぐりぬけて私は考えるようになりました。

校長室には、廊下で会話をする生徒たちの声が聞こえてきて、これがなかなか面白い。雨の降り方が強くなると、「ヤバイ、JRの運行状況を見てみよう。」(←教頭と同じ感覚)…コロナ第2波のことを話しながら、「もしまた臨時休校になったら、オレ、今度はブリコラージュ賞にチャレンジしよう」(←校長にわざと聞こえるように言っているかも)…
生徒の言葉は小説を読むように人の心をひきつけます。
昨日の県議さんの視察のなかで、生徒会長の伊藤さんが、コロナをくぐりぬけた学びについて意見発表をしました。私はまったく添削をしていません。テーマをふって、伊藤さんが一晩でスピーチ原稿の構想を練ったものです。伊藤さんの許可を得て、採録します。
「休校を通して」
「私は休校中の経験を通して、様々なことを学び成長できたように思います。
ひとつは部活動のことです。私は、休校当初はこの状況の深刻さを理解していませんでした。部活の仲間たちと大会までの練習が潰れてしまうからと自主練習に励んでいました。そんななか、先生から大会の中止を告げられ、改めてこの状況の恐ろしさ、深刻さを感じさせられました。私たちにとって最後の大会に出られないことは、とても悲しいことでした。過去の自分たちへの後悔や、悔しい気持ちがたくさん押し寄せました。それでも部の仲間たちとは、連絡を取り合って、少しでも何かを続けようと約束しました。今までみんなで練習を出来たことは、特別なことだったのだと思いました。そして、今まで当たり前のように練習していた日々がかけがえのないものだと感じ、本当に感謝しています。
2つ目は、学び方についてです。休校が続く中で私は授業が出来ないこと、先生や同級生に会えないことがとても不安でした。3年生のゼロ学期である春休みの期間も、どんな風に勉強していけば良いのかわからず、課題をこなすのみになっていました。学校からオンラインでのSHR、動画での学習が始まったことで不安は少し解消されました。また、画面越しにでもみんなに会えることはすごく元気を貰えました。動画学習はデメリットもあるとは思いますが、初めてやる範囲などでも自分のペースで学べることなど、とても便利でした。私は、動画学習の経験から現在はオンライン授業についての総合研究を行っています。今後、このような学校のあり方も可能性として考えられると思います。学ぶ手段のひとつとしてオンラインを利用することでたくさんのメリットが生まれるからです。
3つ目はオンラインの可能性についてです。(……)例えば、オンラインを利用すれば、普段は遠くて会えない人や、より多くの人数での繋がりを作ることが可能になります。私は休校の期間に何度かオンラインイベントに参加させて頂きました。100人以上が参加しており、普段の自分ならその場での発言はしません。ですが、様々な意見が同時に飛び交うオンライン上でなら、自分も質問をすることが出来ました。海外からの参加の方もいて、オンラインの可能性をとても感じられました。
最後は蘇峡祭についてです。休校によって本来行うはずだったイベントがいくつか無くなってしまい、文化祭は出来ないかもしれないと不安でした。そんな時に校長先生が私たちを全力でサポートする、と仰って下さり、その言葉に本当に励まされました。登校日には生徒会で話し合いを行い、休校中に個人で考えてくるというのを繰り返し、なんとか準備を進めていきました。校長先生が対面式で仰っていた、「出来ないことを考えるのではなく、今だからこそ出来ることを考える」という言葉は私の考え方を変えるきっかけにもなりました。この状況で文化祭をやることはどんな意味があるのかを考え、自分が出来ることは全力でやろうと思いました。今年の文化祭のテーマは「青春と一瞬~想像以上の自分へ~」です。この瞬間の大切さ、みんなと会える日々の大切さを知る私たちにとってこのテーマはぴったりでした。休校が開けてから大急ぎで準備を進める中、大雨による臨時休校もあり、本当に大変でした。しかし、忙しくても、大変でも、仲間と協力して取り組む時間は本当に楽しく充実していました。休校以前の私ならきっとこのように考えることはできなかったと思います。やりたいことも思うように進められず、1人で過ごしている時間があったからこそ、最後までやり遂げられたように思います。蘇峡祭本番はあっという間でした。ですが、本当に濃い時間になりました。この瞬間のために費やしてきた時間で私はたくさん成長出来たと思います。
私は休校期間、文化祭での経験はこれからの自分にとって必ず役に立つと思います。これから先、進路に向けて進んでいく中でもこの経験を生かして更に成長できるよう努力して行きたいです。」 (終)
コロナ禍をくぐりぬけて、生徒は本当にたくさんのことに気付き、懸命に自分の目標を実現しようとしています。
伊藤さんのスピーチにある、「この瞬間の大切さ、みんなと会える日々の大切さを知る私たち」という表現に、私は胸がいっぱいになります。
生徒たちは、私たちにとって「教え子」であると同時に、ともに手を携えて歩む「パートナー」なのだと、コロナ禍をくぐりぬけて私は考えるようになりました。

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