「誠実に聞けているか、鋭く問えているか」

 先週の金曜日、7月31日の午後に、3年生の「総合研究」(総合的な探究の時間)で信濃毎日新聞社の読者センター次長の山嵜さんを講師にお迎えして、特別講座を実施しました。
 本校の「総合的な探究の時間」は、金曜日の午後全て(4~6時限)にあてられています。フィールドワークや今回のような特別講座をどんどん行えるようになっているところが、大きな特色なのです。そして班ごとに支援する担当教員がつきますから、この時間帯は学校をあげて取り組んでいます。

 以下は3年の「総合研究」のまとめ役である半場先生からの報告です。
 「生徒たちは、これまで研究概要を作成し、研究の見通しを立ててきました。今後の活動では独自のデータを収集するために外部への取材を計画している生徒が多くいます。そのような中で、信毎の山嵜読者センター次長さんに、『取材の仕方を学ぼう』というテーマで授業をしていただきました。5W1Hを活用して質問を考えること、取材ノートの作り方、などをとても具体的に丁寧に教えていただきました。さらには講師の山嵜さんを取材対象として実際に質問を考える演習もあり、生徒たちは実践的に学ぶことができました。」

 私も後ろから参観したのですが、取材するということがいかに難しいことか、そしてうまく取材できた時の充実感がどれほど大きいものかが、生徒たちは実感としてわかったのだと思います。プロの新聞記者の経験を交えた講義の説得力に勝るものはありません。
 すぐれた「探究」のためには、よき「テーマ」をたてること。そして他者の語りをきちんと「聞く」こと。…これが出発点です。
 日頃、何気なくみている新聞が、いかに記者さんたちのすぐれた「問う力」と「聞く力」(そして「書く力」)によるものであるかを認識できたことは、生徒にとっては大きな収穫でした。

 ちなみに私も今、ある学術出版社の雑誌から書評原稿を依頼されて執筆中です。対象とする書物の書き手の言葉の本質を「聞き取り」、その書物から浮かび上がってくるアクチュアリティを「問う」ことを一生懸命やっています。生徒とやっていることは基本的に同じです。 それだけに、自分が誠実に聞けているか、鋭く問えているかを、今晩も延々と考え抜きたいと思います。
「誠実に聞けているか、鋭く問えているか」