「きれいに見える場所」

 今日は、第3回定期考査の1日めです。4限目までびっしり組まれていますが、廊下を歩いていると、ここかしこで試験範囲の学習内容についてわからないことを教え合う会話が聞こえてきます。

 前期の終わりにあたって校長ギャラリーに写真集の展示を加えました。校長室の本棚にあったものを最近見つけて、思わず感心して読みふけったのです。
 松山優介さんの『hair』という写真集です。
 本にはさんであった刊行時の新聞報道によると、松山さんは蘇南高校を卒業後、愛知大学、東京ビジュアルアーツ写真学科で学び、集英社スタジオに入社。JHR JAPAN HAIRDRESSER OF THE YEARにて3年連続のグランプリを受賞するなどの活躍をし、初の写真集『hair』を2018年に枻出版社から刊行しました。
 『hair』は、すぐれたヘアメイクのポートレイトの写真集で、ひとつひとつの作品の「ヘア」に見事な表情があります。表情というと普通は目鼻立ちから感ずるもので、髪の毛はその引き立て役のように思われがちなのですが、この写真集を見ると、髪の毛自体に素晴らしい表情があります。
 なお、11,36,42,55頁の作品は、妹の松山絵美さん(蘇南高校卒業)によるヘアメイクで、兄妹のコラボの作品になっています。

 理容店をいとなむ家に生まれた私は、この写真集にすっかり見入っていました。
 あとがきで松山さんはこう言っています。「人間って絶対にきれいに見える場所があるんですって。そこを見つけてあげたいという思いがあって、構図を決めて三脚を組んで撮るようにしています。」
 人間って絶対にきれいに見える構図がある。この言葉に私は深く共感します。すべての人間が美しいのだという皮膚感覚って、実はヒューマニズムの基礎なのかもしれません。

「きれいに見える場所」