「ミクロコスモスへのまなざし」

 今月から校長室ギャラリーは、草間彌生のエッチング「幻の野」を飾っています。草間彌生を楽しめる校長室にしてみたのです。
 この作品、以前に松本市美術館の企画展でも見ましたが、いかんせん草間彌生ワールド全開の大作のはざまに咲いた、スミレのようなものでした。しかしこの作品が単体として展示されていると、あらためて作品の魅力が際立ってきます。
 草間作品に頻繁に登場する「カボチャ」だけでなく、この作品にはブドウ、クリ、カブなどさまざまな果物・野菜が登場します。ちょっとポップで明るい作品なので、その昔、私は一目で気に入って知り合いのギャラリーから購入したのでした。
 そしてこの作品の果物・野菜は、やはり微細な幾何学模様に彩られており、たとえばブドウの一粒一粒の微細な網の目を凝視していると、その深淵に吸い込まれていきそうな錯覚に陥ります。

 神は細部に宿る・・・とか、マクロコスモスがミクロコスモスと重なり合うという発想が、ヨーロッパにはありますが、まさにミクロコスモスの細部の中に無限大の宇宙を感じさせるのが、草間ワールドです。

 この作品をじっと覗き込む生徒が出てくることを楽しみにしています。
「ミクロコスモスへのまなざし」