「失われつつある里山の恵みを新たな料理方法にいかす」

 3年生の総合研究が、まとめにむけて追い込みをかけています。以前はコロナ禍のなかの学習の遅れについて地域の子どもたちのサポートに取り組んでいる生徒の研究実践を紹介しましたが、他にも面白い研究が様々にあります。

 かつては南木曽の地のいたるところに出会えたのに、今はほとんど見かけなくなった植物があるということを知った長岡さんは、野原や河川敷などをフィールドワークして希少植物を採取し、それを食材として活用する新たな方法を開発しようとしました。具体的には自然酵母を培養して、それをもとに新しいパンを開発するという研究です。調理室のなかに酵母を培養する彼の(一見あやしげな)壜が並び、ホームベーカリー2台が彼専用で持ち込まれ、どうやったらパンになるのかの試行錯誤が行われました。
 そうして、ようやくふっくらとしたパンが焼きあがったのです。私も早速試食をしました。おお、なんと! 野草としてのニホンハッカを酵母化したパンからは、ほのかなハッカの香りが口の中に広がり、味も素晴らしい。お金を払ってでも食べたい味のパン!

 これは結構な発明ではないだろうかと、私も色々調べると、北海道の北見でハッカを使ったパンを名物にしているお店があり、製造方法はまったく違います。ハッカの香りを焼いたときに失わないよう、苦労して開発したとのこと。
 長岡さんが開発したのは、ハッカの香りがやわらかく口の中に広がり、なぜハッカが希少種になってしまったかという日本の里山の危機を考えるきっかけになる、ハッカパンです。ちなみにカワラナデシコパンも出来て、これも素晴らしい。
 本当の意味での「豊かな自然の恵み」を味わうことができました。長岡さん、ありがとう!

 


「失われつつある里山の恵みを新たな料理方法にいかす」