「木曽地域の高校の将来像についての意見・提案書がまとまる」

 長野県の高校再編・高校改革にかかわって、旧第10通学区(木曽地域)の「将来像」を考える協議会の第5回会議が木曽町文化交流センターで行われ、「意見・提案書」がまとまりました。
 南北に約90キロ、東西に約50キロという広大な地域に、木曽青峰高校とわが蘇南高校の2校が存在しており、両校のあいだを自動車で移動するのに50分かかります。地域の人口減少が進むなか、これからの高校はどうあるべきかを、行政・経済・高等教育機関・町村教委・小中学校・PTAなどさまざまな団体の代表が一堂に会し、議論を重ねてきました。
 「意見・提案書」の根幹は、木曽地域の2校がともに「存続されていくべき」であること、そしてそのための2校の学びの一層の発展を地域と連携しながらはかっていくというところにあります。

 今回の会議の冒頭で、会長の原久仁男・木曽町長さんより、「今日が終わりではなく、出発点だと考えている。県立高校ではあるけれども、地域が高校を支え、育てていくことをより一層努力していくべき」という挨拶をいただき、私は深い感銘を受けました。
 今回の協議会は、私にとってこれからの蘇南高校のありかたを考えるための素敵な出会いの場でした。人との出会い、提言されたアイデアとの出会い、教育といういとなみについての考え方との出会いです。

 「意見・提案書」がまとまる前に、すぐにでも始められることが実際に動き出しています。
 木曽郡PTA連合会の千村さんは、郡内の保護者を集めて2校への見学会を組織してくださいました。ただの参観ではありません。校長から学校経営の思いを聞き、じっくり授業を参観し、そこで考えたことを相互に対話し合うという、たっぷり半日をかけた研修です。来ていただいた保護者の方々からは、2校の魅力に温かいエールをいただいただけでなく、私たちと保護者の皆さんが子育てをともに行う「同志」であるというようなきずなが生まれたような気がしています。小中高の垣根をこえた教員と保護者の皆さんとのきずなの構築が、この地域では始まっています。

 地域とのより一層の連携も始まりました。木曽青峰高校は「未来の学校」の先進的な取り組みを重ねています。わが蘇南高校は、3年生の課題研究発表会を中学校とオンラインで結び、高校生の探究の姿を中学生が間近に見るという試みを始めます。その翌週には、「ふるさと探究学・序章」と銘打ち、南木曽町の魅力的な大人たちが高校生たちと「ふるさとをつくる」ことの意味を対話するという学びを立ち上げます。
 こうした連携を進めていくと、私たち教員が、今、つとめているこの木曽の地域をもうひとつの「ふるさと」と愛おしむようになり、「ふるさと」の人々、自然、文化遺産と手をたずさえて教育を進めるのだという姿勢が生まれてくるように感じています。

 「意見・提案書」の「おわりに」は、このような文でしめくくられています。
――「木曽地域の高校2校は『小さくてもキラリと光る高校』になり、木曽地域においてすぐれた高校教育を創造していくことが十分に可能であると考えています。」

 地域の皆さんからいただいた、この言葉の重みを心の支えにして、蘇南高校をさらに磨いていこうとあらためて決意しました。
 「意見・提案書」のためにかかわっていただいたすべての皆様に心からの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

「木曽地域の高校の将来像についての意見・提案書がまとまる」