「生徒はネットで調べる前に、誰かと会う~第10回総合研究発表会が終わる」

 今日は、3年「総合研究」(総合的な学習の時間)の発表会を開催しました。33班すべての作品をエントランスに展示し、4班のプレゼンを大講義室で行いました。大講義室には3年生全員と5名の審査員の皆さんが集まり、その様子をオンラインでそれぞれの教室にいる1・2年生に配信しました。審査員は、向井南木曽町長さん、伊藤南木曽町教育長さん、コンソーシアム委員の高橋さん、吉田さん、川本さん、そして県教育委員会の卯之原さんです。
 今回は、さらに木曽郡・中津川市・伊那市など本校生の出身中学校の校長先生方がつながってくださいました。そのうち開田中学校と南木曽中学校では3年生の生徒の皆さんが全員で参加してくださいました。そして同じ総合学科の塩尻志学館高校と丸子修学館高校の皆さん、福島県立ふたば未来高校の林先生、神奈川の聖和学院中学・高校の栢本先生と生徒の皆さんがつながってくださいました。
 あらためて深く御礼を申し上げます。

 今日、発表した4本は、次のような探究です。
①運動不足に陥りがちな中山間地の人々(山坂が多いから運動すると思われがちだが、逆に車に頼ってしまう)のために、手軽に取り組める運動プログラムを作って47家庭に取り組んでもらったほか、町内のさまざまな坂道を走って記録を投稿するインスタグラムを開設した。(池上さん、尾上さん)
➁Arduinoを使った作曲のプログラミングを容易にできる方法を考案し、中学生向けの教育ツールとして、実際にプログラミング教室を実践した。(松永さん、垂見さん)

③南木曽を代表する「ろくろ工芸」の魅力を調べていく中で、保温性を科学的に検証しようとしたら、「木のお椀は、すぐに温度がさがり、適温となって持続する」という性質を見出し、これを新たなセールストークにすることを提案した。(大畑さん、上村さん)
④南木曽の失われゆく里山の希少植物から自然酵母をつくり、30回以上の試行錯誤(さまざまな条件を変更しては試した)を繰り返して、ついにふくらむおいしいパンの製造に成功した。(長岡さん)

 あらためて私は思いました。蘇南高校の生徒たちの「探究」は、とにかく外に出て、いろいろな大人たちと出会い、対話をし、そこから考えたことを探究しようとしています。そして実験とか実践をとにかく試行錯誤して、うまくいかないことや予想外の展開にとまどい、それを逆にバネにしたりして、探究を磨いています。
 私はこれまでいろいろな高校生の探究を見てきましたが、ネットで調べた知識をくみあわせて並べて、結論としては「この社会問題に対してのひとりひとりの意識を高めていくことが大切だと思います」という型にはまった言葉が出てくるものが多かったのです。私は「頭でっかち型」と呼んできました。
 うちの生徒は、ネットで調べる前に、まず誰かと会って、自分の目と耳と心で経験しようとする。そして自分の実践をくみたてようとする。これはとても大切なことではないでしょうか。
(つづく)


「生徒はネットで調べる前に、誰かと会う~第10回総合研究発表会が終わる」