「ミネルヴァのふくろうをめざして」

 今日から休みが明けて授業が再開されました。寒波襲来でとても冷え込んだ一日でしたが、生徒たちの明るい声がひびきあう校舎の廊下を歩いていると、それだけで温かな気持ちになってきました。

 新年の校長講話は、放送にておこないました。テーマは「ジレンマ問題」です。唯一解のない現実の課題についての選択肢で、AをとるかBをとるか悩ましいのだが、AもBも両方を選択することはできないというとき、どのように選択していくべきか。それが「判断力」なのであり、高校で学びを重ねることは、そうした力を磨いていくことにほかならない。
 判断は、直観で行うべきではなく、未来を予測してそのためにどのような対処が必要なのかを考察したほうがよい。その未来予測でしばしばおこることが、希望的観測をとりあえずたてておく逃避的な思考である。絶望するでもなく、希望的観測に逃げるでもなく、冷静に未来を予測して現在の自分たちのあり方を考えること、それが「開拓者精神」につながるのではないか。…そんなことを生徒に語りかけました。

 朝の職員会では、「ミネルヴァのふくろうは夕闇がせまるときに飛び立つ」(ヘーゲル『法哲学』)という私の好きな一節を先生方に紹介しました。ふくろうは、ギリシア神話の学芸の神ミネルヴァの使者です。
 学ぶ者は、闇が迫るときこそ、判断力をもって活躍できるはずなのです。
「ミネルヴァのふくろうをめざして」