「卒業式の風景・番外編」

 今日は、後期選抜直前の閉庁日(長野県立高校一斉の対応)です。
 土曜日に書ききれなかったことを二つ、報告させてください。

 ひとつめ。卒業式会場の体育館に3年生が入場してくると、在校生が作成したビデオメッセージを大きなスクリーンにながしました。3年生ひとりひとりの顔写真が映し出され、その名前を在校生が2人1組で大きな声で呼ぶというスタイルで、在校生が卒業生全員を紹介するビデオでした。生徒会のスローガン「ファミリー」のような温かさにあふれたオープニングでした。

 ふたつめ。私の式辞では、アフガニスタンで井戸を掘って人々のいのちを支え続けた中村哲さんが著書の中で紹介しているエピソードを紹介しました。(中田正一さんの文章を中村さんが引用しているくだり。)

――ある時、三人の若者が山の中で吹雪にあい、遭難しそうになった。C君はぐったりして動けなくなった。とほうにくれたA君、B君のうち、A君は頭の良い人で、「このままでは皆が危ない。ぼくが一人でさきにようすを見てくる」といって二人をおいて身軽に行ってしまった。
  ところが、待てど暮らせどもどってこない。残されたB君は、「まあ仕方がない。ともかく凍えるよりは」と、たおれたC君を背にしてとぼとぼと雪の中を歩きはじめた。さいわいB君もC君も救助隊に助けられたが、途中で彼が遭遇したのは、なんと先に一人で進んだA君の死体だった。その時、B君が電光のようにさとったことがある。「ぼくはC君を助けるつもりで歩いていた。だが、じつは背にしたC君の体の温もりであたためあい、自分も凍えずに助かったのだ。」


 私はこうつづけました。 
 私たち、蘇南高校の教員は、皆さんを背負っているつもりだったが、実は皆さんの温もりにあたためられてきた。親御さんはもっと同じことを思っているはず。これからは、皆さんが誰かを背負い、そのぬくもりで皆さんが幸せになってほしい。そうすれば、「いのちのリレー」になるんじゃないかな。
「卒業式の風景・番外編」