「学習を評価することの意味を考える」

 本校は、昨年度から生徒の学習の成果をどれだけ丁寧に評価するかということに取り組んでいます。丁寧に…というのは、二つの意味があります。

 ひとつは、なるべく多面的に評価することです。テストの点数一発勝負ではなく、いくつもの課題の取り組み方の評価(パフォーマンス評価)を積み上げていくわけです。テストはあくまで全体の中の一部にすぎません。

 もうひとつは、評価する主体を、教員だけにしないということです。何より、自分の学びを自分で評価すること(自己評価)をいくつもの科目で試みてきました。もちろんそこには、教員からの評価を加えます。そして自己評価と教員評価が違った場合、なぜそうなったかを分析しています。自信がなさすぎる場合、自己点検が不十分な場合、他者の力を借りた部分と自力の部分の切り分けができていない場合など、その要因は様々です。でも大切なのは、自分に甘すぎず、厳しすぎず、ほどよい自己評価をする「まなざし」を鍛えていくことでしょう。

 全国の高校では、来年度から3観点評価が本格化します。「知識」と「思考力」に加えて、「学びに向かう主体性」が評価の対象になります。その場合、「学びに向かう主体性」については、本来は、生徒が自分で自分を評価すべきものであって、教員はその支援をするのが望ましいのだと思います。生徒と教員の「協働」なくして評価の充実はないはず。
 もちろん私の発想の根底には、自分で自分のことを評価することはとても難しいという世界観があります。だからこそ、授業の具体的な学びの成果を通じて「頑張ったね。自分をほめてあげようよ」とアドバイスできる場面を増やしていきたいと考えています。
 
「学習を評価することの意味を考える」