「セリフをそぎ落とす」

 高校生の文化系クラブの活動をとりまとめる長野県高等学校文化連盟には、いくつもの専門部があり、私は昨年度から演劇の部会長をつとめています。
 このコロナの状況の中で、舞台芸術に関わる活動を進めることには大きな困難があります。そのために統轄役にはどうしても専門性が求められるということで、蘇南高校には演劇部がないのですが、私が登板しています。

 先週、すべての演劇部の顧問の先生方に、今年度の方針についてお伝えしました。長野県の独自ルール「コロナ時代の演劇」を今年度も続行するという方針です。役者どうしが身体接触をしない。そして決められた距離を必ず保って演技をするというルールです。

 そんなことで演劇ができるのかと思われがちですが、十分、できます。
 ただ、昨年度の各学校の舞台を見ると、動きが制約されてしまう分、セリフが過多になる傾向がありました。「思い」をすべてセリフで説明したくなってしまうのです。そこをぐっと我慢して、あえてセリフをそぎ落とし、観客の想像力に委ねた芝居こそが、「コロナ時代の演劇」を成功させるということがわかりました。
 その勘所を掴んでいたのは、ベテラン・中堅の顧問たちでした。今年度は、その勘所を全県顧問で共有する研修会をオンラインで実施する予定です。

 あえてセリフをそぎ落とし、観客の想像力に委ねる。
 考えてみると、授業も同じですね。
「セリフをそぎ落とす」