「山笑う」

 ゴールデンウィークあけの学校は、温かな陽気にめぐまれ、開け放たれた教室のドアから生徒たちの明るい声が響いていました。この時代状況の中で、生徒たちが元気に登校してくれるというそのことが、本当にうれしく、感動的に思えます。

 蘇南高校をとりまく南木曽町の風景は、山々の新緑・花々が、澄んだ青空のもとに照らし出されて輝き、目を見張るような美しさです。
 「山笑う」という俳句の季語を思わず口ずさみます。

 「故郷(ふるさと)や どちらをみても 山笑ふ」(正岡子規)
 私は一時期、子規を読みあさって、子規庵やお墓などあちこちを旅しました。故郷の心包まれる風景を秀逸に表現しており、感服する作品です。

 「腹に在る 家動かして 山笑ふ」(高浜虚子)
 今日は、この句の「家」が「学校」そのものです。

 雄大で繊細な自然に囲まれて生活できることの喜びをかみしめます。この日々の中で自分がどんな「ことば」を紡ぐのか、あらためて心して生きていこうと思いました。

「山笑う」