「探究イノベーションの試み」

 今日の3年生の「総合探究」(金曜日の午後3時間連続)では、「探究イノベーション」という試みを行いました。
 個人または班で、担当の教員の指導を受けながら、地域や日本社会の課題解決を探究しているのですが、教員のほうのバイアスとか視野の狭さに、生徒の探究が制約されてしまう恐れがあります。生徒と教員の距離が近い本校は、余計にその恐れがあります。

 そこで今年は、担当ではない教員のところに生徒が行って、自分の研究の進捗状況をプレゼンし、アドバイスをもらうという機会を何回か設けることにしました。なづけて「探究イノベーション」です。
 外からの刺激で、自分を見つめ直し、探究の革新をはかっていこうという企画です。

 校長室には、防災の探究を進めている3人が来ました。プレゼンを聞くと、さまざまな試行錯誤が伺えて、とても面白い。
 蘇南高校は高台にあるのですが、中学校や教職員寮のある沼田地区は木曽川河畔なので、どうしても洪水警報の際に避難することが必要になります。ところがそのためには木曽川や伊勢小屋沢の橋を渡らないといけません。避難に遅れると取り残される危険があります。

 昔は沼田地区から蘇南高校の高台に登る避難路(山道)があったと聞いて、それを復活させようと、生徒たちは森林の藪の中に突入したのだそうです。途中で崩落している個所に出くわし、ときに(少し)滑落し、ほうほうのていで高台に登って来たのでした。お年寄りにはとてもこれを使うのは無理だとわかり、やはり早めの避難こそ大事と考えるにいたっています。ちなみに冒険のプロセスを動画に撮影しているところも、さすが。
 身体を張って「安全な避難」を実現するためにはどうしたらよいかを探究する生徒の話を聞いて、私からもいくつかのアドバイスをしたのでした。

 「探究イノベーション」は、生徒の探究をアカデミックな研究にリンクさせる視点をアドバイスできればいいという願いもあります。
 学校を上げて生徒の探究を支援していくことを、大切にしていきたいと思っています。
「探究イノベーションの試み」