「新たな本校のお客さんが現れる」

 伊勢小屋沢の橋を渡って一気に丘の上に上がってくる坂道には、ときどきサルの群れが現れます。その都度、私と事務長さんが出動して追い払っており、最近では、サルたちが校長の出張の時に限って現れるようになってきました。

 先週の木曜日、サルの目撃情報が寄せられ、私は一人で坂道にかけつけたのですが、すでにサルの姿はありません。しかし、どうも背中に視線を感じます。その方向に振り返ると、「おおっ」と思わず叫んでしまいました。グラウンドの脇の斜面に、小さなカモシカがいるではありませんか。

 カモシカはその習性ゆえに逃げませんから、5分くらい私たちは見つめ合い、やがて突然「フィーッ」と鳴いて、山の方へ走り去っていきました。
 さすが、森の哲学者と言われるだけあって、何かを問われているような5分間でした。

「新たな本校のお客さんが現れる」