「茶摘みをすることで開拓者精神を受け継ぐ」

 今日は、本校の伝統行事「茶摘み」を行いました。
 70年前に本校が創立された当初、生徒会や部活動の費用を自分たちで準備しようと、学校の校舎の裏側に広大な茶畑がつくられました。1年生が中心となって三日がかりで「茶摘み」をして、その販売収益を生徒会などの活動資金にあてたという記録が残っています。
 やがて生徒数が増加して、工業棟・プール・テニスコートなどが作られ、茶畑は姿を消しました。しかし十数年前、当時を懐かしむ保護者たちの努力で合宿所脇に茶畑がつくられ、1年生の「茶摘み」が復活して、こんにちに至っています。

 南木曽町は長野県のお茶の栽培のほぼ北限で、町内の田立地区がお茶の名産地でもあります。そんなふるさとの特産品を学ぶとともに、改めて本校の校是「開拓者精神」を意識する機会が、この「茶摘み」なのです。

 生徒たちは「1芯3葉」の原則にしたがって、ひとつひとつ丁寧にお茶を摘み取っていきます。手に握りしめてお茶を発酵させてはいけないので、すぐに袋に入れながら、「やってみると面白いですね」「お茶の葉ってきれいですね」「キャー(蜘蛛がいたから)」などと語り合い(叫び合い)ながら、一生懸命作業を進めていきました。
 親指の爪を使ってお茶の茎を摘むときの感触が、やわらかくて気持ちいいのです。

 今春に入ってからの気温の低下で茶葉が小さく、例年よりも収穫量は落ちてしまいそうです。
 それでも本日、製茶工場に持ち込んで、手摘みのお茶の完成品を楽しみに待つことにしました。できあがった「蘇南茶」は、①来客をおもてなしするお茶にする、②生徒に家で飲んでもらうように小袋に入れて渡す、③地域貢献としての活用を考える、といった3種類の活用を考えています。
 「茶摘み」をするたびに、1年生が新しい「開拓者」の列に加わってくれたという実感がわき、私は感無量になります。
「茶摘みをすることで開拓者精神を受け継ぐ」