「本人以上の本人らしさと詩情豊かな想像力」

 玄関ロビーに展示されている美術部の生徒の作品について、さらに紹介していきたいと思います。県展には出品できなかったものの、生徒たちが心に残る絵画作品を創作しています。

 まず、松原さんの「冬の授業」という作品。これは理科の高橋先生の肖像画なのですが、ワイルドな雰囲気のなかに優しさがにじんでいる様子をとてもうまく描いています。まさに「本人以上に本人のよう」なのです。これはモデルとなった高橋先生も嬉しいことでしょう。作品に付けられた松原さんのコメントは次のとおり。

――冬なのにワイシャツ姿で授業をし、「暑い」とストーブを消そうとする…そんな自分のことの方がよっぽど調べがいのある化学の先生を描きました。まだまだ表現しきれていないところばかりですが、少しでも本人に似るように何度も描き直しました。授業の様子が伝われば、と思います。

 松原さんの言葉どおり、(真冬の吹雪のなかでもワイシャツ姿で雪かきをしている)高橋先生が授業をしている雰囲気が、見事に伝わっています。
「本人以上の本人らしさと詩情豊かな想像力」



 次に、鎌田さんの「星降る夜明け」という作品。まずは本人のコメントを読みます。

――鮮やかな夜明けの空を表現できるように、様々な色を重ねて綺麗な空になるように工夫しました。また、濃紺の空に星を描いて全体的に寂しい印象ではなく、幻想的な雰囲気になるよう意識しました。

 作者は、あえて地平線を凸面ではなく凹面として描きました。お皿のような台地に、夜明けの太陽の光が、まるで「希望」の光のように射し込んでいます。しかも太陽の光は、宇宙を彩る星々とつながっているのです。
 作者の詩情豊かな想像力に拍手です。
「本人以上の本人らしさと詩情豊かな想像力」