「地域の大人たちの生き方に出会うことの意味」

 蘇南高校では、1年から3年までの学びを「未来の人々の幸せを想像して、今の自分がどのように生きるか」ということを探究することにしています。
 題して「ふるさと探究学」。なぜここに「ふるさと」と銘打っているかというと、自分たちの身の回りには、「未来の人々の幸せ」のために頑張っている魅力的な大人たちがたくさんいることに気づき、その大人の皆さんと対話をしていこうとするからです。

 今日は「ふるさと探究学・企業ガイダンス編」という学びを全校で行いました。
 木曽郡内の19の企業・官公庁の皆さんにお越しいただき、分科会形式で「この仕事が人々の幸せをどのように創っているのか」「自分が生きる上で大切にしていること」などを熱く語っていただき、それに生徒が質問をしたり感想を述べたりしました。
 1年生から3年生までのすべての生徒が一緒に学ぶのです。

 私は、全体会で生徒に二つのことを語りかけました。①今日は、大人と対話をすることが自分を成長させるということを学んでほしい。②田舎で働いていても、日本全国・世界の幸せと繋がっている。その素晴らしさを学んでほしい。

 実際、19の企業・官公庁の皆さんの講義はすばらしいものでした。世界有数のシェアを誇るメーカーさん、国宝の建築物を支えている方、世界のアスリートにスポーツ用品を提供している方、観光業を通じて地域のエコシステムを守っている企業…それぞれの仕事の奥にある「生きるうえで大切にしていること」「究めることの醍醐味」を生徒に熱く語っていただいたのでした。

 生徒たちもその思いを真正面から受け止めようとしていました。
 地元の木材業者さんの講義に参加した、3年の小川さんが、次のような感想を意見発表しました。
――将来就きたいと思っている職業にかぎらず、自分の住んでいる地域を見渡してみて良いところを見つけ、考え方や見方を変えてみることも大切だなと思いました。また、身近なものだからこそ、今回のお話のヒノキのように、その良さを感じることが出来ました。

 彼女の意見に、私が今回のプログラムで願っていたことが凝縮されていて、とても嬉しくなりました。
 地域の大人と対話をすることで、自分の物の見方がたえず変化していくようでありたい。身近なもののすばらしさを再発見するようでありたい。
 そうした気づきの積み重ねが、人生を豊かにしていくと思うのです。

「地域の大人たちの生き方に出会うことの意味」