「イタドリの可能性を探究する生徒たち」

 3年の「総合探究」では、生徒が自分の興味関心(Will)と世界や地域の課題(Need)の交錯するところに探究テーマを設定して、地域実践を目指して学んでいます。
 前回の授業では、地域の伝統的な食材を活かした新しいメニューを探究している松瀬さんと石山さんが、これまでの中間報告として私を「試食」に招待してくれました。試食! もうこの言葉を聞いただけで心ときめきます。

 彼女たちが取り組んでいるのは、イタドリ(南木曽ではイタンドリとも言います)の新しい調理法です。
 南信州の野山に行けば、ここかしこにイタドリが群生しています。小さい頃、私もイタドリの皮をむいて酸味の強い独特な味を楽しんだ思い出があります。また、広瀬地区にあるレストラン萬屋さんに行くと、驚くほど洗練されたイタドリ料理に出会えます。

 今回、わが校のシェフたちの一品目は、「イタドリ・ギョーザ」。中味の違う3種類のギョーザをいただきました。意外と平凡なメニュー…と失礼な第一印象をもった私なのですが、味わってびっくり。「おーっ、これはいける!」イタドリのシャキシャキ感が、ギョーザのモッチリ感と絶妙なハーモニーなのです。ニラが入っていない、イタドリ&キャベツの組み合わせがベストだというのが私の感想で、生徒の感想と一致しました。
「イタドリの可能性を探究する生徒たち」


 二品目は、「ミルクレープ・イタドリ風」。これもまたイタドリの爽やかな酸味がクリームを上品な甘さにしており、「いいねえ!」と思わず絶賛。上にかけるイタドリ・ソースをもう少し増やしてもいいくらいだと思った次第です。
「イタドリの可能性を探究する生徒たち」


 イタドリがこんなふうに新たな可能性をもっているとは、驚きです。
 二人はこの後、コンクールへの出品を目指しており、さらに探究を進めていくでしょう。
 私も登山をしながら、それまで見向きもしなかったイタドリが、タラノメやコシアブラのように見えてくるのですから、生徒のおかげで世界がより楽しくなってきました。