「屋代高校の皆さんが私の脚本を舞台化する」

 今日は、松本の上土劇場(旧ピカデリー)に長野西高校・屋代高校の合同公演を観劇に行きました。
 屋代高校演劇部の皆さんが、私の書いた脚本「南京の早春賦」を上演してくださったからです。
「屋代高校の皆さんが私の脚本を舞台化する」


 もともと「南京の早春賦」は2003年の作品で、晩成書房の『高校演劇セレクション』にも収録されました。日中戦争下の南京で難民保護に奔走するアメリカ人と日本人の二人の高校生の友情を描いた作品なのですが、日本語・英語・中国語がいりまじって会話が進行するうえ、前半の対話劇と後半の戦場の場面のコントラストの表現が、とても難しい。
 だから自分が上演するわけではないのに、「大丈夫かなあ」と胃に穴があくかと思うほど、緊張して開幕を待ちました。

 しかし幕があいて20秒で悟りました。
 この子たちの演技はすごい(!)と。作者は当然ながらすべてのセリフが頭に入っているので、「このセリフに対して、次のセリフをこう返してくるのか」と思ううちに、役者たちが本当に生きている人間たちに見えてきて、涙腺が緩みっぱなしになりました。

 この作品で描いた戦場に巻き込まれる民間人の悲劇は、2022年の今、キーウ、マリウポリなどウクライナのいたるところで繰り返されています。
 屋代高校演劇部の生徒たちには、そのまなざしがあるからこそ、この作品を作り上げたのだと思います。

 ホールいっぱいのお客さんから割れんばかりの拍手を屋代高校のみなさんは浴びていました。
 私は今日のお芝居のことを一生忘れないでしょう。
「屋代高校の皆さんが私の脚本を舞台化する」