「夏休み前の全校集会でオリンピックについて考える」

Posted by 蘇南高等学校長. 2021年07月27日20:27
 今日が夏休み前の最後の授業日でした。
 本校は二学期制なので、しめくくりの校長講話の集会を「終業式」とは言わず、「全校集会」と呼んでいます。私の講話の後、英語検定・漢字検定の合格者たちへの表彰式、そしてインターハイに出場するバドミントン部の皆さんの壮行会を行いました。

 私の講話は、「東京オリンピックについて考える」としました。このコロナ禍の中で開催することの是非は、まさにどのような観点に立つかによって真っ向から対立する結論になるものであり、このような唯一解のない課題こそ、お互いの意見を対話させていく必要があるだろうというのが、最初の話題でした。

 そして一番のメインのテーマは、オリンピック憲章にうたわれた、差別されずにスポーツに取り組む権利についてです。
 国による差別、人種による差別、民族による差別がなぜ生まれるのかを、さまざまな角度から分析をしました。「人種とは肌の色による分類、民族とは言語・文化による分類」という世間で言われていることが、いかに間違っているかを、アメリカの「血の一滴原則」やナチスドイツのニュルンベルク法などを素材に問題提起してみたのです。

 人間の分類などと言うものは、恣意的な線引きです。世界史を見るといかに人間が他者を理不尽な線引きによって「生きるに値しない存在」と決めつけてきたかがよくわかります。大切なのは、個人として尊重され、その個人が出発点となって共同性を創造していくことです。

 自分が幸せになり、他者を幸せにするために、私たちは学ぶのです。平和な世界をどのようにイメージしていくのかを、これからも折にふれて問い続けていきたいと考えています。