「校長、美術の時間のモデルになる」

Posted by 蘇南高等学校長. 2020年09月16日20:24
 本校の昇降口ロビーには、美術の授業で創作された作品がさまざまに展示されています。春にはろくろを回して制作した木工作品が並びましたし、夏には今はやりの「アマビエ」を描いたフラッグが吊るされて、なかなかに壮観でした。

 それで、先日から私の目をくぎ付けにした作品が、展示されています。
 小川、小川、小川、小川、小川、小川、そしてまた小川・・・と、まるで草間彌生のパンプキンのように、「小川」が無限に増殖して展示されたのでした。(なぜか、私には罪責の念がわいてきています。)校長が美術のデッサンの授業のさいのモデルになったというわけなのです。
 モデルを依頼する資金はないが、適度に人生の辛酸をなめた陰影のある表情のモデルがほしい…と、美術の吉田先生が思ったか思わなかったかは、わかりません。とにかく吉田先生に命じられるがまま、何枚かの写真を撮られて、それで私のモデル・デビューが決まりました。

 そして、今は、ただただ、私を丁寧にデッサンしてくれた蘇南高校の生徒の皆さんに対する感謝の思いでいっぱいです。
 もうひとつ気づいたことがあります。まさに十人十色で私の表情はさまざまです。同じモデルを見ても、これほど描き方が違うのです。小川を見る生徒一人一人のまなざし、心の中にあることは、それぞれかけがえのない独自のものなのです。
 学校は、画一的な学びではなく、多様性を尊重できる学びを保障しなければならない、とつくづく思いました。