「重要文化財・桃介橋の100周年を生徒と記念する」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年09月12日20:04
 今日は、1年生全員が桃介橋と桃介記念館のフィールドワークをしました。国の重要文化財に指定されている桃介橋は、福沢諭吉の娘婿の福沢桃介が水力発電施設の建設資材を運ぶために木曽川にかけた、全長約250メートルの巨大な木造の吊橋です。そして、桃介記念館は、桃介がパートナーの女優・川上貞奴とともに発電所建設を指揮する拠点とした別荘です。

 今年は桃介橋が完成してなんと100周年(!)になります。
 まずは、校長が桃介橋と桃介記念館についての講義をしました。

(1)ドローンの空撮を見るとわかるように、桃介橋は木曽川幅の最も広いところに斜めに架けられた空前のスケールをもっている。ニューヨークのブルックリン橋をモデルにしているとも言われ、世界的に注目される建築様式である。南木曽駅に連結する高さにあり、発電所建設の物資を運ぶ鉄道(!)が木造の吊り橋の上を走っていた。
(2)福沢桃介は、木曽川の水力発電所の建物にヨーロッパの建築様式をとりいれた。須原発電所はライン古城、柿其水道橋はローマの水道橋、読書発電所はパリのアール・デコ式というように、世界の文化が木曽で楽しめる。


(3)福沢桃介のパートナーである川上貞奴は、別荘からバイクにのって発電所に出向き、男たちを指揮する「新しい女性」だった。木曽路に忽然とうまれたヨーロッパ風の別荘は、新しい生き方をうんでいた。
(4)福沢桃介は軍部の植民地拡大政策に批判的だった。信濃毎日新聞を追われた桐生悠々を支えたのが桃介だった。このような歴史をもつ桃介橋100周年を記念して、自分たちがどんな未来を築いていくかを考えていこう。


 このあと生徒たちは、桃介橋や桃介記念館を班ごとに訪問し、フィールド・ワーク・ノートに記録をしました。
 「とても面白いです」と目を輝かせて、生徒が感想を言ってくれました。
 そうでしょう。私たちの生きている場所の「記憶の地層」を掘っていくと、過去の人々の素晴らしい軌跡と出会えるのです。蘇南高校の桃介橋100周年記念の一日でした。