「過半数はストレーターではないことを見つめて」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年06月09日16:25
 今日は、2年生の「産業社会と人間」という総合学科ならではの科目で、校長自ら授業をしました。1年に1回は、それぞれの学年で「キャリアデザイン」を考えてもらう校長特別授業をするようにしています。
 2年生対象なので「キャリアデザインを考える・発展編」と題しました。

 私は、高校でよくありがちな進路指導を変革したいと考えています。早くに目標を定めて努力をすれば夢がかなうなどといったことは、「そういう場合もあるよね」くらいのもの。人生の目標と言うのは、生きていく中で様々な人と出会い、自分自身が成長していくにつれて、刻々と変化していくものなのです。
 高校時代につくってほしいのは、どんなふうに人々の幸せと自分がつながるかの「人生のスタンス」です。

 今日は、現実的な統計の話から始めました。正規雇用の労働者の生涯賃金が、男性と女性とでなぜこんなに違うのか。高卒と大卒でどのくらい違うのか。非正規雇用の労働者との差はどれくらいか。その一方で、お金に換算できない幸せとは何なのか…などを考えました。
 そしてYouTubeの動画「高校生が100にんいるむら」を紹介しました。なかなかよくできている動画で、高校中退者、卒業時の無業者、進学就職後に退学・離職した者などを積算していくと、100人中56人(!)は、何らかの形で「ストレートな進路」を描いていないというわけです。まさに人生とはそうであって、だからこそ「人生のスタンス」を大切にして、頭の片隅でお金のことは意識しつつ、生きることの試行錯誤を重ねて行こうね…と語りかけたのでした。

 人生は試行錯誤、迷路のようなもの。でも生きることは喜びと感動が待っています。
 「進路指導」というよりも「キャリアデザインを一緒に考える」高校を目指したいと思います。