「災害の記憶をどう受け継ぐかを生徒が探究する」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年07月13日19:40
 7月9日(土)の『信濃毎日新聞』に、本校の3年生の探究学習の様子が紹介されました。
 3名の生徒たちが、南木曽町で起こった土石流の記憶をどのように未来に伝えていくかを考えているという内容です。
 
 南木曽町は南からの湿った風が信州の山脈にぶつかる場所に位置しているために、とても激しく雨が降ります。ゴーッという地響きのような雨音と、目の前が白くなるほどの雨の量。南木曽で暮らし始めた頃は、怖くなって夜中に目が覚めたこともしばしばでした。(ちなみに今はまったく動じません。)
 南木曽町は繰り返し土石流の災害に見舞われてきました。地域の人々は土石流のことを「蛇抜け」と呼んでいます。土石流が発生することを「抜ける」とも表現するのです。

 生徒たちは、「蛇抜け」という言葉を知っているか、その「前兆」を知っているかなどについて、全校にアンケートをとりました。そこからわかったのは、「蛇抜け」自体は南木曽の狭い範囲でしか知られていない言葉だということです。「前兆」を理解しているかどうかは、それをテーマにした校長講話を聞いたことのある2・3年生と、1年生で大きな差がありました。
 文化祭で中間発表をして、聴衆とディスカションをしてみると、さらに色々なことがわかってきました。2014年に大きな「蛇抜け」があったのですが、当時小学生だった南木曽出身の生徒たちの記憶はとてもまちまちです。ほとんどの生徒は家の中にいたので記憶がありません。しかし社会体育のために外出していた生徒は、すさまじい雨と強烈な異臭に不気味さを感じていたところ、巨大な山津波が目の前で発生してきたことを、鮮明に覚えていました。

 その鮮明な記憶を、どう未来に伝えていくのか。
 「前兆」の「白い雨」とか「異臭」をどう再現していけるのか。
 生徒たちは試行錯誤しながら探究しています。

 『信濃毎日新聞』の記事は、コチラから読めます。
 https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022070900035