「きれいなフラワーアレンジメントをいただきました」

Posted by 蘇南高等学校長. 2020年06月09日21:10
 なんとシネマコラムニストの合木こずえさんから、校長室に飾ってくださいと、フラワーアレンジメントをいただきました。何と美しい花たちの競演でしょうか。黄色と緑色を基調とした、このアレンジメントは、今まで見たことがないような創造的な作品です。
 校長室ギャラリーの「ひまわり」にもピッタリあいますし、部屋全体が輝くような気がしてきます。

 「これ、どうしてここにあるのですか」
と聞いてくる先生もいます。
 ちょうど、お昼休みに女子2名が、
「今度、校長室でお昼を食べながらお話をしてもいいですか」
と声をかけてきました。
 「どうぞ、喜んで」
 生徒たちと「お花見昼食」ができるかもしれません。(もちろんソーシャルディスタンスには気を付けます。)

 合木こずえさんは、私が松本深志高校の演劇部の顧問をしていたときに、演技指導をお願いしてきました。合木さんの鋭い指導で、生徒たちの演技はいつも格段に伸びてきました。
 そしてご実家の塩尻の映画館(東座)で毎月行われるフロムイースト上映会が、地方で素敵なヨーロッパの映画を鑑賞できる、私にとって至福のひとときです。ドイツの歴史を題材にした映画で、かなり予備知識を必要とする映画を上映するときには、私がボランティアで映画解説を行ったりしてきました。
 実は、中学時代の私の夢は「映画解説者」になることでしたから、合木さんのおかげで、私は年来の夢を実現できたことになります。さらに言えば、「大切な夢って、その職業につかなくても実現できるんだよ」と、私流のキャリア教育を生徒に伝えるようになったのも、この経験によります。

 そんな恩人である合木さんから、エールとともにいただいたフラワーアレンジメントです。

 合木さん、本当にありがとうございます!
 素敵な映画のように、私も、時にスリリングに、時に息を抜き、時に圧倒的なヤマ場を作りながら、「感動」を創造できるように、頑張ります!



  


「新しいパンフレットができる」

Posted by 蘇南高等学校長. 2020年06月08日18:02
 通常日課の登校日が2週目に入りました。真っ青な晴天のなか、生徒たちが元気に登校してきます。

 蘇南高校の新しいパンフレットが刷り上がって届きました。
 南木曽町のシンボルである桃介橋(別名・桃の橋)と満開の桜を表紙にデザインし、タイトルには「開拓者精神を具現化する長野県蘇南高等学校」と、本校の学校目標を入れ込みました。
 昨年のものよりもタイトルの文字をソフトな感覚にしてほしいという私からの注文に、印刷屋さんはうまく応えてくれました。表紙・裏表紙を除いて6ページ構成で、総合学科の学びの解説、進路実現に向けた学校の取組、3つの系列の時間割と卒業生のミニポートフォリオの紹介、海外語学研修とクラブ活動の紹介からなります。
 中学生がこのパンフレットを見て、本校の学びの内容をイメージしてほしいという願いから作ったものです。

 このパンフレットの中で、ある卒業生はこう語っています。
 「私は、入学当初、自分が将来、何をしたいのか決まっていませんでした。しかし『産業社会と人間』という授業やインターンシップなどを通して、自分と向き合い、様々な職業と触れることができ、将来の目標を決めることができました。進路を決めてからは、自分に合った勉強方法を教えてもらったり、補習を行ってもらうなど受験に向けて個別に対応していただきました。様々な進路が選択できる蘇南高校で、自分の進路を実現してください。」
 …この卒業生が書いてくれているような、自分に向き合い(自己理解を深める)、様々な職業に触れ(他者理解を深める)、将来の自分のあり方を考え(役割理解を見出す)、目標が決まってからは徹底した個別最適化の支援を受けるというのが、本校の魅力です。

 例年行われている木曽郡内・中津川市内のすべての中学校の進路講話で蘇南高校の紹介をすることについて、今年度は基本的に校長が行くことにしました。
 中学生の皆さんと「キャリアデザイン」とはどういうことなのかを一緒に考えながら、私自身の言葉で「蘇南高校の魅力」を伝えたいと願ってのことです。パワーポイントとこのパンフレットを使いながら、この地域の中学生の皆さんと楽しく有意義な対話ができればいいと思っています。
  


「ひまわり」

Posted by 蘇南高等学校長. 2020年06月05日15:21
 真夏のような暑い日でした。
 でも暑さに負けず、生徒たちは元気に学んでいます。廊下を歩いて全校の教室を廊下側の窓からこっそりのぞき見るのですが、生徒は再開された対面授業に熱心に臨んでいます。発表とか討論の場面が多いのが本校の授業の特色ですから、窓が解放された校舎の中は、いきいきとした授業中の生徒の声があちこちから聞こえてきます。

 通常授業の再開にあたって、校長室前の廊下の壁には、「校長室ギャラリー」を銘打って、私が自宅に持っている美術品を月替わりで飾ることにしました。もともと本校の廊下には、様々な画家たちの素敵な絵画が飾られています。そこに私のコレクションも仲間入りさせていただき、生徒が芸術作品の中で日々の学校生活を過ごすことができればいいと思っています。

 「校長室ギャラリー」第1回は、松本市出身の写真家・小口和利さんの「ひまわり」です。

 私が松本深志高校に勤めていた時、近くの喫茶店の常連だった小口さんと出会い、この作品を手に入れました。小口さんは、スポーツの世界大会での選手の躍動的な一瞬をとらえた写真や、静謐で荘厳な日本アルプスの写真など、すぐれたお仕事をたくさんされています。

 「ひまわり」は、昔、小口さんがフランスに旅をしていたとき、偶然見つけた光景を撮影したものだと聞いています。一面のひまわり畑のなかで、たった一輪のひまわりが、こちらを向いて咲いています。その「いのち」の圧倒的な質感が、この作品の魅力です。ひまわりの「私はここにいるよ」という声が聞こえてくるような気がします。

  


「真空地帯の泉のような学び」

Posted by 蘇南高等学校長. 2020年06月03日22:20
 臨時休業に入る直前、私は全校の生徒の皆さんに、「やむなくステイホームになっても、そこでできる学びは色々あるから、是非、自分なりの学びを考案して取り組んでみてほしい。そして休み明けに、校長主催の『ブリコラージュ賞』に応募してほしい」と呼びかけていました。

 そして先週から今週にかけて、続々と、生徒たちの「ブリコラージュ賞」への応募が寄せられています。
 これが実に面白い。

 まず「団体部門」。
 自宅にいる状態で、部活動などのメンバーが情報交換しながらできる「個人の活動」に、取り組むものです。
 このブログでも報告しましたが、3年の女子の呼びかけで全校の生徒の皆さんが寄せてくれた「先生ありがとうメッセージ」が、美しい切り絵・折り紙に彩られたアルバムと動画となって私たち教員に届けられました。呼びかけた女子生徒が、SNSで集めた全校生徒のことばを色紙の吹き出しにひとりひとりすべて(!)書き写してくれていました。
 1年の坂下中学校出身者の皆さんが、移りゆく春の美しい動画を作ってくれたことも、すでにブログで紹介しました。
 2年A組の生徒たちは、クラスの一人一人が、コロナに負けないぞという意志を表すメッセージとともに紙飛行機を飛ばす光景をつないで、素敵な動画を作りました。模造紙のような大きな紙飛行機を豪快に飛ばす生徒もいれば、思いをしっかり伝えてそっと紙飛行機を飛ばす生徒もいます。ひとりひとりの個性が見事に表現されています。ちなみに全員がちゃんと制服を着ているところも、いかにも蘇南の生徒らしく微笑ましい。
 女子バスケットボール部の生徒たちは、個人練習をつないで一冊のノートを仕上げました。各自の縄跳びとか走り込みとかダンスの記録が並んでおり、一日で一人縄跳び2000回(!)といった数字が並んでいることに、私はびっくり。
 音楽部の生徒からは、休み中の個人練習をつないだ成果をこれから実際に見せてくれるという予告をいただいています。

 そしてブログでも紹介したように、バドミントン部の皆さんのマグカップへのシャトル打ち込みの動画や日めくりカレンダーが届けられてきたわけですが、その後も「こんな動画もあります」と入れ替わり生徒がやってきて、校長室で動画を見せてくれます。「イッテQ~Qチューブ」ばりの凝った演出による面白動画もあれば、ミュージカル俳優競演の「民衆の歌」の向こうをはった、バド部版ミュージカルの動画もあります。ちなみに保護者から聞いた話だと、南木曽から昼神温泉まで走り込みに行った生徒がいる(清内路峠を越える約20km)とか、南木曽から日義まで行こうとした生徒がいる(距離約35㎞+高低差約370mの上り)とか、下宿生を中心に町中でボランティアをやっていたようだ(高齢者世帯一軒分の片づけをやった、家のトタン屋根の補修をやった、など)とか、もう「ドラエモンのポケット」状態。ただし、それはインターハイ出場を目指して県下各地から本校に集ってきたのに、その目標の機会そのものが失われた哀しみの中での「負けないぞ」という活動だったのだと思います。

 次に「個人部門」。
 ある生徒は、自分の集中力がどれだけ持続するかを極限まで試すために、千ピースパズルを四枚も完成させました。「意外と自分の集中力があると発見」したのだとか。素晴らしい!
 別の生徒は、荒れ地を開墾して自給自足生活を目指しました。これもいい!こんな取組が出現するとは想像もできませんでしたよ。
 さらに別の生徒は、好きな読書が思い切りできるとばかり、37冊の本を読破しました。先生たちにお薦めの本を聞いて、それを試すということもしていて、本にもバリエーションがあります。
 自分とまわりの友人を素材にして素敵な小説を書き上げた生徒もいます。高校生の誠実さとやさしさがひしひしと伝わってくる好作品。
 健康のために毎日散歩をしたときに美しい自然と出会い、それを撮影してアルバムにしている最中で、もうすぐ届けますと、予告をくれた生徒もいます。…などなど。

 前回のブログの表現の繰り返しなりますが、「ブリコラージュの力」(自分の持っているものを組み合わせて壁を突破すること)を発揮して生徒たちは頑張ったのです。
 今回、不条理にもステイホームを余儀なくされた生徒は、「真空地帯の泉のような学び」に取り組みました。学校という空気が一時的になくなった真空地帯で、教員があらかじめレールをしいたわけではない、生徒自身の内面からわきあがった「やってみよう」という泉のような好奇心が、こうした多様な試みの花を咲かせたのでした。

 心から拍手です!

 そして、学校が再開された後にも、「真空地帯の泉のような学び」が生まれるようにするためには、どうしたらよいのか。このことを私は学校づくりの課題にしたいと考えています。

  


「蘇南高校は絶対に負けません!」

Posted by 蘇南高等学校長. 2020年06月01日12:59
 本日、6月1日(月)より蘇南高校は、通常日課での学びを再開します。
 分散登校の時にも生徒と対面できた喜びは大きかったのですが、全校生徒が登校してくると、校舎に響く笑い声が何倍にも聞こえてきて、やはり胸に迫るものがあります。
 今日、皆さんと再会できて本当によかったと思いながら、昇降口から入ってきた生徒たちに「おはよう」「おはよう」と、朝の声がけをしました。

 学校再開にあたり、私から全校放送のメッセージを語りかけました。
 まず生徒に伝えたかったのは、休校中の私たちのオンライン教育にきちんと応えて、学びを続けてくれたことに加え、部活やクラスで作成した様々な動画や全校生徒による「先生ありがとうメッセージ」アルバム等で私たち教職員を励ましてくれたことへの「ありがとう」という感謝の思いです。今回のコロナの臨時休校の苦難では、実は私たち教員の心も折れそうだったのに、全校生徒の皆さんのやさしさに支えられて、今日を迎えることができました。
 「皆さん、本当にありがとう。これからも支え合いながら、一緒に頑張りましょう。」

 そして学校生活の注意点や今後の年間行事予定表の変更点を説明して、最後は私が心から実感していることを、生徒に語りかけました。

 「どんなに逆境であっても、何かができるということがわかったのが、今回の経験ですよね。持ち合わせの知識と経験を使って、自分の好奇心や仲間との協働で、きっと突破口が作れるとわかった。このコロナの時代に私たちは、そんな成功体験をつかんだんです。私がいつも言っている表現を使えば、「ブリコラージュの力」(自分の持っているものを組み合わせて壁を突破すること)が、私たちにはあるんです。」
 「まだまだコロナとの闘いは続くでしょう。でも今は確信をもって言えます。蘇南高校は絶対に負けません!」