「岩波新書の一冊をつくりました」

Posted by 蘇南高等学校長. 2022年03月21日08:00
 このほど日本史研究者の成田龍一さんとの共同編集で『世界史の考え方』という本を出版しました。
 5人の研究者(岸本美緒さん・長谷川貴彦さん・貴堂嘉之さん・永原陽子さん・臼杵陽さん)をゲストにお迎えして、それぞれ鼎談を重ね、読者にとって読みやすいように再編集した対話形式の書物です。(ひとりあたりの発言を長くするとともに、論点の展開を明確にしています。)

 高校では4月から「歴史総合」という新しい科目が始まります。日本の高校教育史上初めて日本史と世界史を総合する科目です。もともと世界史とは、外国史ではなく、日本史を含んだ総合的な歴史であったほうがよいと、多くの人々が考えてきました。
 しかし、日本史と世界史の総合とは、どのようにして可能なのか。このことを大塚久雄、丸山眞男、江口朴郎といった「古典」から現代歴史学までの名著を素材にして考えました。歴史教育の本は、多くが歴史研究者からの素材の提供か、歴史教育者の実践論です。これらもとても大切なのですが、私たちはあえて「考え方の検討」をしてみました。一般市民、(背伸びしてみたい)高校生にも一緒に考えていただけるように努力しました。

 本格的に執筆の仕事を重ねてきたのは、この3年ほどでしょうか。最初は岩波ブックレットにしてみたいという企画でしたが、進めるうちに岩波新書にしたいと、編集部の皆さんが猛ダッシュ。私は必死に皆さんについてきました。
 機会がありましたら、手にとっていただければ幸いです。